Alef Model A
ここまで紹介した中で、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のファンが愛してやまない「伝統的な」空飛ぶクルマに最も近いのが、この機体だ。見た目こそデロリアンには似ていないが、Alef(アレフ)のModel Aは、公道走行可能な電気自動車として設計されており、通常のガレージに収まり、既存の道路を走り、なおかつ垂直に空へ舞い上がることもできる。これは先端モビリティの未来像の1つの代替案を示している。すなわち既存インフラを再利用し、離着陸用の「vertipad(バーティパッド)」や「vertiport(バーティポート、垂直離着陸専用の発着場)」といった新たな施設の必要性を抑える方向だ。事業モデルは公共交通や配車サービスではなく、(おそらく相当の富裕層向けの)個人所有を前提としている。
Wisk Aero Generation 6
ボーイング子会社のWisk Aero(ウィスク・エアロ)の動きは、既存の航空業界の盟主たちがパーソナル航空輸送の登場にどう対応しているかを示してくれる。EHang と同様、Wisk AeroのGeneration 6(第6世代機)も完全自律飛行型である。今年、同社は米連邦航空局(FAA)から、自律航空輸送に関する安全基準と規制を策定することを目的とした全国規模の実証プログラムの主導役に選定された。これは課題が機体製造の枠を超え、何千機もの個人航空機が同時に運航する事態に対応する航空交通管制インフラの整備にまで及ぶことを物語っている。
Pivotal Helix
規制が空飛ぶタクシーの覇権争いに及ぼす影響を浮き彫りにしているのが、Helix(ヘリックス)である。同機は、これを超えると操縦者にパイロット免許が必要になる FAA の348ポンド(約 158 kg)という上限を下回るよう設計されている。そのため飛行は「非混雑地域」に限られる可能性がある。
だがHelixは、配送が困難な遠隔地での利用や、緊急サービス、軍事用途を想定して設計されている。玩具用ドローン並みに操縦が容易な個人航空機というアイデアに魅力を感じる、血気盛んなアマチュアパイロットからの人気も期待できそうだ。本機および前身機BlackFly(ブラックフライ)が集める注目度は、eVTOLの用途が通勤や都市利用にとどまらない実用性に向けて構想されていることを示唆している。


