山口、広島、岡山で店舗展開していたユニクロは、1991年に現在の社名に変えて、「わが社を今までにない革新的な企業にしたい」と社員に宣言した。毎年30店舗を出店し、3年後に100店舗を超え、株式上場すると告げたのだ。
それまで毎晩、大学ノートに反省や改善点を書き続けて商売を客観視してきたことに加えて、各店長たちには毎日ファクシミリで経営方針など書き綴ったものを送り続けた。
今も「できることとできないことを書き出して、緊急で重要なことから優先順位をつけて実行するようにしています」と言う。
インタビューした際、和やかな会話だったのに、原稿に文字として書いていくと、短い言葉に人生の覚悟が収斂されていることに気づいた。
「行き先を決めない限り、行きたい所には行けない」と悟り、「上には上がいることをよく知ること」と戒める。そして、「今、自分たちはイケていると思っている人に未来はない」と、常に高みを目指した行動こそが大事だと訴える。
実際、以前から彼は海外視察を欠かさなかった。一代でアメリカを代表する婦人服チェーンを築き、最短で上場した巨大ブランド「ザ・リミテッド」の創業者レスリー・ウェクスナーを尊敬し、彼から学ぼうとして、ついに家で食事までする関係になる。常に学ぼうとする彼の行動力こそ、「習慣のルーチン」部分に相当するだろう。
ノートを思考の武器にしたから事業で成功するわけではなく、目標があるからツールとしてノートや言語化が必要になる。それを成功のプロセスに組み込められるかどうか。行動を変えれば、結果は変わるのだ。
アパレルで世界3位になった今も、柳井は常に「上には上がいる」と言って、こう反省した。
「今、76歳だけど、僕はまだまだチャレンジが足りなかったと思うよ」
行き先を決めたものに、ゴールはないのだ。


