ほとんどの人は、自分の血液型のことを、もっぱら医療に関する問題だと考えている。何しろ、病院や献血カードの上でしか用のないものに思えるからだ。しかし、ここで改めて考えてみると、血液型には種類があって、特定の血液型の人が多かったり少なかったりする。すると自然と次のような疑問が浮かぶ──そもそも、なぜそのような違いが存在するのだろうか。なぜ進化によって、万人に共通した単一の血液型にならなかったのだろうか。
人類の進化にはよくあることだが、その答えはたった一つではないし、単純でもない。血液型は、数千万年にわたって作用してきた、複数の力によって形成されたものだ。そのため、免疫学や遺伝学、進化生物学の領域が交わる問題となっている。
現在わかっているのは、血液型が当初は、細胞表面における分子の微小な差異として始まったことだ。それ以来、血液型は、進化がほぼ常に、「完璧さ」よりも「多様性」を優先する事実を顕著に示す例となっている。
血液型の「目的」は何か
血液型が存在する「目的」を問うことは、実際には「意図」など存在しないのに、そうした意図を進化に対して押しつけるリスクを伴う。とはいえ、研究者の共通認識では、血液型に関係する分子レベルの差異は、単なる偶然というわけでもない。
2015年に学術誌『Clinical Chimica Acta』に発表されたレビュー論文は、ABO式血液型の生物学的役割を検証し、その影響が、輸血適合性以外にも広く及んでいることを明らかにした。
血液型を決定づける抗原(赤血球の表面にある小さな糖鎖構造)は、上皮組織や体液など、全身に広く発現している。これは我々の血液型が、その名称にもかかわらず、血液だけに関係するわけではないことを示唆している。血液型は、人体と周囲の環境とのあいだで働く、はるかに広範な生物学的インターフェースの一部を構成しているのだ。
これらの抗原は、以下の4つの主要な血液型を区別する。
・A抗原を持つA型
・B抗原を持つB型
・両方の抗原を持つAB型
・どちらの抗原も持たないO型
これらの抗原は、Rh因子(プラスまたはマイナス)と組み合わさることで、血液型をさらに細かく区別する。しかし、進化的に最も重要な意味を持つのは、やはりABO式だ。
世界的に見ると、これらの血液型の分布は均一ではない。O型が世界で最も一般的である一方、AB型は一貫して最も少ない。Rhマイナスの血液型も、Rhプラスに比べて少ない。
最も重要なのは、これらの抗原が、細胞同士の相互作用、そして何より、病原体との相互作用を左右し得るということだ。先述した2015年の論文が示しているように、ABO式血液型と、心血管疾患、感染症、さらには一部のがんを含む、さまざまな疾患への罹患リスク(発症しやすさ)とのあいだには関連性がある。こうした関連性の存在は、血液型の抗原が、炎症や細胞接着、免疫認識といったプロセスに関与していることを示唆している。
したがって血液型は、意図的に設計されたという意味での「目的」は持たないが、それでも、生物学的脅威への反応に影響を及ぼすという形で、体を守る防衛システムのうち最前線の一部として機能している。これらの異なる血液型が、長きにわたり維持されてきたという事実は、その役割が何らかの重要な働きをしていることを示唆している(その役割が一つに留まらず、かつ状況によって変化するものであったとしても)。



