サイエンス

2026.05.19 18:00

血液型2000万年の謎、人類がABO式血液型を維持してきた科学的理由

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二つの対立する理論:なぜ血液型は続いてきたのか

上記の研究は、血液型の多様性が古くから存在し、かつ慎重に維持されてきたことを教えてくれる。そこで当然、多くの人が疑問に思うのは、どのような進化的な力が、これほど複雑なシステムの発達を必要としたのか、ということだろう。

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2004年に学術誌『Proceedings of the Royal Society B』に発表された画期的な研究は、ABO式血液型の持続を説明するための二つの主要な理論を検証した。いずれも、人体が環境とどのように相互作用するかという点に根ざしている。

1.病原体によって駆動される「血液型の選択」

第一の、かつ最も広く支持されている理論は、血液型が感染症によって形成されてきたというものだ。この枠組みでは、病原体が宿主細胞に接着して侵入する方法が、異なる血液型の抗原によって変化すると考えられている。

特定の抗原を侵入ポイントとして利用する細菌がある場合、特定の血液型を持つ個体は、より脆弱になる。一方で、同じ構造によって侵入を阻まれる細菌がある場合は、その個体に抵抗性が付与される。このことが、ある環境内で、どの病原体が最も優勢であるかによって有利か不利かが入れ替わるという、組織・血液型抗原の変動的な状況を生み出した、というわけだ。

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2004年の研究は、これらの相互作用が、どのようにして集団内に複数の血液型が維持されることにつながるかをモデル化している。ある病原体が、最も一般的な血液型を標的とするよう適応した場合、より少ない血液型の個体が、生存において優位となる。そして、それらの少ない血液型がより一般的になるにつれ、バランスは再び変化する。こうして、宿主と病原体とのあいだで、遺伝的な「軍拡競争」のようなものが繰り広げられる。

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翻訳=高橋朋子/ガリレオ

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