サイエンス

2026.05.19 18:00

血液型2000万年の謎、人類がABO式血液型を維持してきた科学的理由

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血液型には2000万年の歴史がある

研究者は長らく、ヒトにおける血液型の多様性が現れたのは比較的遅く、チンパンジーと分岐した後(600~760万年前)の、ヒトの系統のどこかで生じたと考えてきた。しかし、ここ20年間の遺伝学および古遺伝学の研究によって、その前提は見直されている。実際には、人間の血液型は当初考えられていたよりもはるかに古く、複雑な歴史を持っているようだ。

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まず挙げるべき重要な学術的証拠は、2008年に学術誌『BMC Evolutionary Biology』に発表された研究によってもたらされた。同研究では、スペインのエル・シドロン遺跡で採取されたネアンデルタール人の骨から、DNAを抽出して分析した。

現代人のDNAによる汚染を避けるための入念なスクリーニングを経て、研究チームは、その標本に、O型の血液型に関連する、特徴的な遺伝子の欠失が含まれていることを明らかにした。

これはネアンデルタール人が、現代人に広く見られるABO型のバリアント(多様体)の少なくとも一つを保有していたことを意味する。その結果、O型のアレル(対立遺伝子:染色体上で同じ位置を占める遺伝子)の起源は、現代人とネアンデルタール人が分岐した約50万~70万年前より以前までさかのぼることになる。さらに重要なのは、血液型の多様性を形成する要因が、われわれ現代人が出現するずっと以前から、すでに作用していたことを示している点だ。

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この発見も印象的なものだったが、その後、2012年に学術誌『Proceedings of the National Academy of Sciences』に発表された研究によって、血液型のタイムラインは劇的に延長された。

研究者たちは当初、現代のABO式血液型がすべて共通の祖先に由来するのか、それとも収斂進化によって、それぞれの系統で独立して生じたのかを断定できなかった。研究チームはこれを検証するため、ヒトと、(ヒトやチンパンジーより遠い系統である)テナガザル科(学名:Hylobatidae)およびオナガザル科(学名:Cercopithecidae)におけるABO式血液型の遺伝子の違いを比較した。

その結果、A型とB型の血液型をもたらす同じ遺伝的差異が、これら遠縁の種のあいだで共有されていることが示された。すなわち、それらは各系統で独立して進化したわけではなく、すべて共通の祖先から受け継がれたと考えられる。

これは、A型とB型のバリアントが、「種を超えた多型(Trans-Species Polymorphism)」の一部であることを示唆している。種を超えた多型とは、複数の遺伝子バリアントが、種の分化を超えて保存され、分岐から数百万年にわたって受け継がれるという、まれな進化的現象のことだ。

血液型の場合、研究者たちはこの多型が、少なくとも2000万年前までさかのぼると推定している。これは、人類が出現するはるか以前、それどころかヒト科の大型類人猿もまだ存在しない時代だ。

これら二つの研究を総合すると、A型とB型のバリアントの起源は数千万年前に遡り、種の境界を越えて、奥深くに保存された遺伝システムの一部として受け継がれてきたことがわかる。一方で、血液型の多様性の一部要素(O型のアレルなど)は、人類の系統やその近縁種において、進化の歴史のより遅い時期に現れた。

そう考えると、厳かな気持ちにさせられる。血液型のようなありふれたものが、実際には古代から続く進化の歴史の一端であり、今日では想像もつかないような力の作用によって形成され、保存されてきたのだ。

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翻訳=高橋朋子/ガリレオ

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