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2026.05.24 15:00

早期の才能発掘は「低コスト高リスク」、組織の未来を決める正しい賭け方

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「ポテンシャル(潜在能力)」という概念ほど、企業の関心を強く引きつけてきたものはない。取締役会や人事部門のリーダーたちはポテンシャルを見極め、測定し、活用することにますます関心を寄せている。その論理は単純明快だ。組織は過去を管理することではなく未来を形づくることで成功する。そして昇進や採用の判断、後継者計画といったあらゆる判断はその本質において「その人が次に何をするか」という予測に他ならない。

こうした賭けがいかに重大な意味を持つか考えてみてほしい。一般の従業員を管理職へ昇進させる、マネジャーを経営幹部に抜擢する、あるいはリーダー職の人材を外部から採用する際にはまだ実証されていない能力について判断を下す必要がある。

これはビジネスの世界にとどまらない。スポーツクラブは次のリオネル・メッシを見つけることを期待して若い選手をスカウトし、政党は後に頭角を現す比較的無名の人物を支援する。ベンチャーキャピタリストはアイデアとストーリーしか持たない創業者に投資する。いずれの場合も核心の問いは同じだ。誰が将来成功する可能性が最も高いのか、そしてどうすれば他者よりも早く(そして的確に)それを知ることができるのか、ということだ。

実際のところ、ポテンシャルへの執着は今に始まったものではない。それは組織化された社会そのものと同じくらい古いものだ。

ポテンシャルに賭ける歴史

古代文明においても、完全に開花する前に才能を見極めるという課題に取り組んでいた。昔中国で行われていた科挙(おそらくは史上初の正式な大規模なポテンシャル評価だろう)は、儒教の知識や知的能力に基づいて統治能力のある人を見極めることが目的だった。古代ギリシャやローマでは指導者の選抜は家系と資質の両方に基づくことが多く、将軍や政治家は実績だけでなく将来性によっても評価されていた。

軍事機関はこうした手法をさらに洗練させた。不確実な状況下で有能な将校を見極める必要性からシミュレーションや心理評価、構造化された観察といった体系的な評価手法が生まれた。現代ではシンガポールのような国が、学業成績や心理的適性検査を用いて若いうちから高いポテンシャルを持つ人材を見極める仕組みを制度化し、そうした人材をリーダー育成のパイプラインへと導いている。

根本的な課題は変わっていない。それは、人が行動を起こす前に、その行動をどのように予測するかということだ。

ポテンシャルとは

ポテンシャルはよく使われる概念であるにもかかわらず実体を伴うものではない。推論によって導かれる概念であり、将来の行動に関する確率的な判断にすぎない。「高いポテンシャルを持っている」と言うとき、それは(理想的にはデータや証拠、根拠に基づいて)その人が将来価値ある成果を上げる可能性が他の人より高いことを意味しているにすぎない。

この点は重要だ。なぜなら、ある根本的な違いを浮き彫りにするからだ。人が今後も行い続けることを予測するのは比較的容易だ。過去の行動は未来の行動を予測する最良の指標だからだ。ある人が特定の役割において一貫して優れた成果を上げてきたのであれば、その人が今後も同様の成果を上げ続けると期待するのは妥当だ。真の難しさは別のところにある。それは、その人がこれまで経験したことのない役割において成功できるかどうかを予測することだ。

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翻訳=溝口慈子

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