2025年夏、筆者はウクライナ東部ハルキウ州の前方指揮所で、AI(人工知能)を搭載したドローン(無人機)をウクライナ兵がロシア軍に向けて発進させる様子を見せてもらった。最後の段階で、ドローンは目標を自律的にロックオンした。ほどなくして画面に別の車両が映し出された。2機目のドローンが発進した。数分後、それは目標に命中した。
ウクライナのドローン操縦士にとって、これは戦争の新たなリズムになりつつある。機械が目標をより早く特定し、ロシア軍の陣地後方にさらに深く到達し、前線部隊だけでなく、攻勢の継続を支えている兵站網も攻撃する。
「技術は進歩し、戦場を変容させました」。ウクライナ国家親衛隊第13「ハルティヤ」作戦任務旅団のドローン部隊「ヤスニ・オチ(澄んだ目)」の指揮官、ヘオルヒー・ボルコウは筆者の取材にそう述べた。彼の部隊はAI搭載ドローン「Hornet(ホーネット)」を運用している。ホーネットは、元米グーグル最高経営責任者(CEO)エリック・シュミットの防衛技術イニシアチブに関連した支援を受けて開発され、価格は6000ドル(約95万円)未満とされる。
The Russians are very concerned about the emergence of the Ukrainian “Hornet” strike UAV (Russian name: “Martian-2”) from Eric Schmidt's Swift Beat company.
It reportedly has autonomy and terrain-following capabilities that were previously seen on the Russian “V2U” strike UAV.
1/ https://t.co/O0dot3TtVd pic.twitter.com/VNy9jzqGBJ— Roy🇨🇦 (@GrandpaRoy2) April 10, 2026advertisement
このシステムは、自律的な目標選定機能、高度な通信技術、戦場からのフィードバックを通じて改良されるソフトウェアを組み合わせたものだ。
「これはたんなるドローンではなく、人工知能と高度な通信技術に基づくプラットフォームです。固定翼機や地上ロボットにも応用できるでしょう」(ボルコウ)
ウクライナは個々の兵器を破壊していくよりも、ロシア軍の戦闘システム全体に打撃を与える方向にシフトしてきている。ボルコウは「敵陣の後方30~40kmを攻撃し始めると、すぐに効果がみられました」と言う。フィンランドの独立系OSINT(オープンソース・インテリジェンス)団体ブラックバード・グループの推定によると、ロシア軍は2026年4月、戦線全体で圧力を継続したにもかかわらず、支配面積の純増は約94平方kmにとどまった。
According to our data, in April the net gains of the Russian armed forces were approximately 94km².
— Black Bird Group (@Black_BirdGroup) May 2, 2026
Russian offensive attempts continue to struggle, while the frontline on the southern front has largely consolidated after the Hulijaipole offensive of February and March.
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同じ発想はウクライナのドローン戦全体も形づくりつつある。ウクライナの特殊部隊と共に戦った経験を持つ元米陸軍特殊部隊員(グリーンベレー)、ブライアン・ピケンズは2025年12月の取材時、ウクライナには「十分な中距離打撃能力と拡張可能な自律性」が欠けていると指摘していた。



