K-2旅団のドローン専門家のプチャタによると、ウクライナはドローン戦術も更新しており、長距離攻撃ドローンの一部を作戦縦深攻撃に振り向けるとともに、前線後方100~150kmの目標を攻撃するために特別に設計した新型システムも開発しているという。
アナリストらは一方で、自律的なシステムが導入されても戦場の制約が解消されるわけではないと注意を促している。電子戦、悪天候、ロシア軍の迅速な適応は依然としてドローンの運用を複雑にしている。
米シンクタンクの戦争研究所(ISW)でイノベーション・オープンソース分析手法担当のディレクターを務めるジョージ・バロスは、クリミア、ウクライナ南部、メリトポリ、マリウポリ、ドネツク市を結ぶロシア軍の主要補給路に対してウクライナ側がドローンによる戦場航空阻止(BAI)を強化すれば、影響は戦域全体におよんでいく可能性があると述べている。
ロマノフも、この脅威はさらに増大しかねないと懸念している。彼によれば、ホーネットは特定の周波数帯では妨害可能なものの、それは(1)スターリンク衛星通信網を利用していない(2)目標をまだ自律的にロックオンしていない──という2つの条件を満たす場合に限られるという。いったん終末誘導段階に入れば、電子戦の有効性は著しく低下する。
それ以上にロマノフが危惧しているのは、この先に想定される事態だ。ホーネットによるあらゆる任務は、米クアルコム製のハードウェアで動作するニューラルネットワークシステムにデータを供給しているとみられ、より自律性の高いドローンの開発を加速させている可能性がある。
より大きな問題は、ウクライナが到達範囲の拡大をどのくらい早く実現していけるかだ。ボルコウは、何であれ、ウクライナ側の到達範囲を広げる技術は、ただちに戦場で優位性をもたらすと言う。ウクライナのシステムがより遠くを攻撃できるようになるほど、ロシア軍の兵站網を、前線部隊に物資が届く前のより早い段階で妨害できるようになる。
元グリーンベレーのピケンズは「手動によるFPVドローンの操縦はマスケット銃(ライフル銃の前身にあたる昔の歩兵銃)のようなものです」と語る。「わたしたちは1人のオペレーターが100機のドローンをプログラムするようになる世界へ向かっています。これは殺傷力や生存性、要するマンパワー(人的戦力)を完全に変えることになります」
この変化はロシアによる対ウクライナ戦争だけでなく、今後の戦争の戦い方も再定義する可能性がある。アナリストやウクライナのドローン操縦士たちによると、現在の戦場は、どちらの側が相手側の反応よりも早く目標を特定、分析、攻撃できるかにますます左右されるようになっている。
ウクライナにとって次の段階は、半自律的な「ドローンの壁」になるかもしれない。より安価でAIを搭載したドローンをずらりと揃え、ロシア軍を前線への到達前に探知、追跡、攻撃していく態勢だ。それはロシアにとっては、前線後方でドローンの攻撃を受けない地域がますます縮小することを意味する。


