こうした変化は、ウクライナ側のより広範な戦略を反映している。ウクライナのシンクタンク、ウクライナ安全保障・協力センター(USCC)のセルヒー・クザン会長は「ウクライナは自国よりも規模の大きい核保有国との消耗戦において、非対称性と技術的優位性を頼みにしているのです」と筆者にコメントした。
ロシア軍の後方地域はもはや安全ではない
ロシアの著名な軍事ブロガーであるウラジーミル・ロマノフは、ウクライナのホーネットドローンがロシア占領下ウクライナ南東部マリウポリ方面のR-150地域幹線道路の上空を「妨害を受けずに」飛行し、前線のはるか後方で燃料輸送トラックなど軍用車両を追跡して攻撃しているとテレグラムで報告している。
ロマノフはこの方面の状況について、ロシア占領下ウクライナ東部ドネツク市方面のM-30国家幹線道路にロシア軍が設けている兵站回廊と似た状態になりつつあると指摘している。M-30号線は前線から35km以上離れているが、ウクライナのFPVドローンの監視によって一帯の区間は事実上、使用不能になっている。
この作戦は、ロシア軍の後方地域を戦闘地域化するというウクライナの広範な戦略を示している。ウクライナ国家親衛隊第1アゾフ軍団は5月、マリウポリ上空で作戦行動を行うドローンの映像を公開した。アゾフ海に面する港湾都市であるマリウポリは、ウクライナ東部ドンバス地方とロシア占領下クリミア半島を結ぶ重要な兵站拠点である。映像は、かつては安全と考えられていた前線後方の道路やその他のインフラも、いまではウクライナのドローン攻撃にさらされやすくなってきていることを示唆している。
ヤスニ・オチ無人機部隊の指揮官ボルコウはホーネットについて「非常に有効なため、敵は『このシステムを抑え込まなければ、近いうちに接触線の後方30~40kmでも安全に移動できなくなる』と不満を漏らし始めています」と述べている。
この戦争を追い続けているOSINTアナリストのロイ・ガーディナーは筆者の取材に、ホーネットの使用は前線の後方を攻撃するためのウクライナの広範な取り組みの一環だと解説した。ガーディナーによると、ウクライナは20~150kmの縦深打撃用の中距離攻撃ドローンを増やしており、それには約60~100kgの弾頭を搭載可能な国産の「FP-2」などが含まれる。
Ukrainian FP-2 drones by Fire Point getting ready for action and being launched.
— Anton Gerashchenko (@Gerashchenko_en) April 21, 2026
They strike important targets often and are crucial for middle-strikes. https://t.co/TKkDtyYNx5 pic.twitter.com/8j5wnkxPLR
ガーディナーは、ウクライナはこれらのドローンを使って、ロシア軍が攻撃のために戦力を集結する前にその弾薬庫や燃料基地、輸送拠点、指揮所、防空システムをたたき、前線後方のキルゾーン(撃破区域)を拡大していくことを狙っていると説明する。


