欧州

2026.05.16 11:00

ウクライナがロシア軍後方への攻撃拡大 AIドローン「Hornet」投入、兵站を圧迫

ロシアの支配下にあるウクライナ南東部マリウポリ方面で、ウクライナの第1アゾフ軍団のドローン(無人機)がロシア軍のトラックを攻撃する様子。第1アゾフ軍団がソーシャルメディアで公開した動画から

安価なドローン、広がる到達範囲

だがウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は今月5日、ウクライナが4月に行った20km超の中距離打撃は3月から倍増し、2月に比べると4倍に増えたと明らかにした

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こうした傾向は戦術レベルでも確認できる。ウクライナ特殊作戦軍の「UA REGチーム」は5月4日、所属するドローン操縦士たちが最近、55~71km後方にあるロシア軍の兵站動脈を攻撃したと通信アプリ「テレグラム」で報告した。使用したのは何千ドルもする航空機ではなく、600ドル(約9万5000円)のFPV(一人称視点)ドローンだったという。

UA REGチームはこうした攻撃について、操縦士の技量、任務計画、装備の準備を成功の要因として挙げ、目的は補給品・補充人員、弾薬、糧食・水を断つことでロシア軍を接触線への到達前に阻止することだと説明している。

ウクライナは、西側から供与されている高価な長距離兵器システムだけに頼るのではなく、より安価なドローンを用いて、複数の縦深で同時にロシア軍の兵站に圧力をかけている。

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ウクライナ無人システム軍第419独立無人システム大隊のアンドリー・ペリペンコは「パートナー諸国から供与される装備には、ロシア領内深部への攻撃の禁止や、攻撃目標を事前調整する必要など、使用上の制限が課されていることが多いです」と筆者の取材に述べた。「自国で開発した装備であれば、軍事作戦を計画する際に制約されずに済みます」

ウクライナはもはや、前線でロシア軍の人員や兵器を撃破することだけに注力しているわけではない。現在は、それらを支える「仕組み」そのものを解体しようとしている。これは燃料輸送車や防空部隊、指揮拠点、弾薬集積所、前線後方30~120kmにある輸送回廊などで構成される。

ウクライナ無人システム軍第20「K-2」独立無人システム旅団に所属するドローン戦専門家、ドミトロ・プチャタは筆者の取材に、ウクライナは戦場の作戦縦深(編集注:おおむね前線後方の兵站経路・拠点や指揮所などが含まれる範囲。それより浅い前線一帯が「戦術縦深」、それより深く、敵領内の都市やインフラまで含まれるのが「戦略縦深」)をますます攻撃するようになっていると説明した。「兵站はかねがねロシア軍の問題でした。ウクライナは現在、そこを積極的に攻撃しています」

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翻訳・編集=江戸伸禎

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