つい最近、プロ野球巨人軍の阿部慎之助監督が娘たちのケンカに仲裁に入って手を出してしまい、長女がChatGPTに相談したのがきっかけで逮捕騒ぎになった。
多様なコンテンツを作ることができる生成AIに関する情報は雨後の筍のごとく増える一方だ。シンギュラリティ(AIが人間の知能を追い抜き、自律的進化を繰り返すことで社会のあり方が一変する特異な時点)はもうすぐという議論もある。
今回は私の心療内科クリニックに通う患者たちが生成AIと向き合う姿を紹介しながら、人間とAI のあるべき関係を探ってみたい。
若年層ほど「AIを信頼している」
先日、生成AIの利用法に関する興味深い記事が載った。内閣府消費者委員会が10~70代以上の各年代男女1442人に生成AIの使用目的をアンケートした(中日新聞5月2日付)。
全体では情報の検索・リサーチ76.4%、文章の作成・編集33.9%の順だったが、3位だった悩み相談の割合は男性より女性の方が多く、とくに10代女性では過半数の52.4%が利用していた。人間関係や人付き合いに関する生成AIのアドバイスを「とても信頼している」「ある程度信頼している」と答えたのは全体の38.6%。若年層ほど割合が高く、10~20代女性の過半数、10代女性のほぼ3人に2人が信頼していると回答した。
心の悩みを抱えて当院に通う人たちも例外ではない。診察でのやり取りで、患者さんたちは問わず語りに生成AIとの関わりを伝えてくれる。その数は、ここ半年で目立って増えてきた。大半が女性だ。
自己否定と承認欲求のはざまで
当院に13歳の時から通う大学生の依田軽代さん(仮名)は1年ほど前から生成AIの代表、ChatGPTを使ってきた。
もともと人付き合いが苦手で、小学3年から不登校になり、中学入学後も続くため当院初診。かたくなで、融通が利かない。ベースに自閉スペクトラム症傾向があると判断し、臨床心理士によるカウンセリングを続けた。不登校のまま高校入学となりいったん終診。その後、民間のカウンセリングに通った。甲状腺疾患が見つかり、診察も受けた方がよいとアドバイスを受け、大学入学後に再度当院を訪れた。
「人目が怖い。女性カウンセラーの目も怖い」。男性より同性のほうが怖いと訴える。醜形恐怖があり、嫌なことを言われた相手がほとんど女性だったとのことだが、自己否定と承認欲求の両極が彼女に同居しているように見えた。当院勤務の臨床心理士はすべて女性なので、私が診察の際にカウンセリング的な態度で接してきた。
いつも真っ赤な口紅を引いて来院する彼女は、常に自信がなく依存しやすい体質を自覚していると吐露した。そして、大学授業の課題に呻吟しながら、逃げ道としてある方法をとっていることを打ち明けてくれた。その方法とは─



