従業員の業務を追跡・記録して生産性を高めるツールは数十年前から存在していたが、コロナ禍を機に、いわゆる「ボスウェア」が爆発的に普及し、従業員の反発を招いた。AIの進化によって、こうしたツールはさらに高度化し、キー入力やマウスの動き、クリックに至るまで、あらゆる行動を追跡できるようになっている。
4月下旬には、メタが数千人の従業員に対し、AIモデルに日常業務を学習させる目的で、コンピュータ上のあらゆる行動を追跡すると通告した。これに対し従業員からは、プライバシーの侵害であり冷酷な決定だと批判の声が上がったと、ニューヨーク・タイムズは報じている。メタのようなテック大手は、AIへの数十億ドル規模の投資を賄うために数千人規模の人員削減を進めており、こうした監視ツールが、削減対象となるポジションの特定に利用される可能性がある。
スクライブの顧客は、同社のアプリは従業員を監視するためのものではなく、「自分たちはここで何をしているのか」という問いに対する理解を深め、改善につなげるためのツールだと説明している。クラビヨのシニアディレクター、グレン・ヴァンダーランは、このツールの導入にあたっては、何が追跡され、何が追跡されないのかについて、従業員に対する透明性を確保することが重要だったと語る。「誰かがESPN.comにアクセスしても問題にはしないし、それを追跡することもない」と彼は述べ、従業員にはオプトアウトの選択肢も用意されていると補足した。
Amplifyのゼネラル・パートナーであり、スクライブの投資家でもあるマイク・ドーバーは、AI時代における同社の役割を、ウェイモが無人運転を実現する数年前、人間のドライバーがサンフランシスコ市内を走り回って地図を作成していたプロセスになぞらえる。「地図がなければ、自動化は実現できない」と彼は指摘する。
もっとも、現在のウェイモに、当時のドライバーはもはや必要ない。


