OpenAI、Anthropic、Googleのシステムを基盤に構築されたスクライブのAIモデルは、新入社員のオンボーディングや問い合わせ対応、顧客対応など、1500万件のワークフローを記録・分析し、4万種類のビジネスアプリにおける人々の働き方を分析してきた。同社は、昨年11月にシリーズCラウンドで7500万ドル(約119億円)を調達し、企業価値は13億ドル(約2057億円)に達した。
スミスは、コンサルタント時代にスクライブのビジネスモデルの着想を得た。15年以上前、マッキンゼーでビジネスアナリストとして働いていた彼女は、多くの企業において、従業員が日々何時間も費やしているアプリ上でのクリックやタイピング、コピー&ペーストといった作業の実態を、十分に把握できていないことに気づいた。
部下の業務を効率化するために、その実態を把握することは骨の折れる作業だった。スミスは従業員の背後に椅子を寄せ、肩越しに作業を観察しながら操作内容をメモに取った。加えて、ツールを使いこなす数十人のスタッフにインタビューも行った。「組織のノウハウは従業員の頭の中に眠っている。それは企業にとって最大の資産だが、形あるものとして保有することも、可視化することも、組織として活用することも難しいものだ」と彼女は語る。
スミスは、従業員の肩越しに覗き込むよりも、もっと効率的な方法があるはずだと確信していた。その答えがAIだ。2019年の夏、彼女は共同創業者のアーロン・ポドルニーとともにスクライブを設立した。同社は現在、2つの製品を提供している。ワークフローを記録してガイドに変換する「Scribe Capture」と、そのデータを分析し、改善すべき非効率を特定する「Scribe Optimize」だ。
スミスによれば、同社のアプリが収集するのは、スラックやセールスフォースなどの業務用アプリケーション上のデータに限られる。個々の従業員の行動を監視するのではなく、チームレベルでの傾向を把握することでデータは匿名化される。「我々の製品は仕事の進め方を測定するためのものであり、従業員を監視することが目的ではない」とスミスは語る。例えば、昼休みにユーチューブを見ていたとしても、それが監視されることはない。


