スタンフォードからサーバー会社を経て、2016年にCerebrasを共同創業
スタンフォード大学の生物学教授と心理学教授の息子であるフェルドマンは、文字通り世界的に有名なキャンパスで育った。「大学の中で育つと、卓越とは何かがはっきり分かる」と彼は言う。「道を挟んで2軒先の人はノーベル賞を2つ持っていたが、我々が知っていたのは、彼の奥さんがハロウィーンに大きなキャンディバーを配ってくれるということだけだった」。
その後、彼自身もスタンフォードに進学し、1987年に経済学と政治学を学ぶ学部生として入学、のちにMBAも取得した。2007年にはSeaMicroというサーバー会社を共同創業し、2012年に同社は3億5500万ドル(約561億円)でAMDに売却された。彼は半導体大手で2年働いた後に退社し、2016年にCerebrasを共同創業した。
追い風は、ビッグテックがAIインフラに投じる巨額投資
Cerebrasにとっての追い風は、大手研究機関(ラボ)による計算資源への尽きることのない渇望である。これが同社の事業を押し上げる。グーグルは2026年、計算資源に最大1900億ドル(約30兆円)を投じる計画だ。これは2025年に費やした900億ドル(約14.2兆円)の2倍を超える規模となる。メタは最大1450億ドル(約22.91兆円)を投じる計画だとした。
OpenAI、ソフトバンク、オラクルなどが、総額5000億ドル(約79兆円)規模のAIインフラ構築を目指す「プロジェクト・スターゲート」も動き出している。トランプ大統領の2期目の始動を象徴する大型テック施策だが、取り組みの一部は進捗が停滞しているとも報じられている。ゴールドマン・サックスのレポートによれば、ビッグテックは今年だけでAIデータセンターとチップに推計5000億ドル(約79兆円)を投じる可能性がある。
OpenAIとの3.2兆円契約で迎える上場後の新章
Cerebrasは市場にある複数の次世代チップ企業のうちの1社にすぎないが、同種の企業としては初めて上場した。Groqは、グーグルのTPUチップに携わった元エンジニアらが立ち上げた企業だ。昨年のクリスマスに200億ドル(約3.2兆円)でエヌビディアに売却され、半導体大手の推論戦略の中核を担う存在となった。もう1社の競合SambaNovaは、2025年12月にインテルとの買収交渉中と報じられたが、その後方針を転換した。2026年2月にはインテルなどから出資を受け、評価額51億ドル(約8058億円)で資金調達を行った。
一方のCerebrasはIPOを前に、注目度の高い複数の大型契約で市場での地位をさらに強化してきた。1月にはOpenAIが、3年間で最大750メガワットの計算資源をCerebrasから購入することで合意した。取引額は200億ドル(約3.16兆円)超と評価されている。Cerebrasはまた、3月にアマゾンと提携し、自社チップをAWSデータセンターに供給することになった。
上場企業となった現在、Cerebrasは新章を迎える。昨年、同社がCFIUSをめぐる問題に揺れていた時期、フェルドマンは成長を続ける中での最大の懸念について語っていた。「大企業のインセンティブは、先駆的なイノベーションをしない方向に働くと思う。失敗のコストが非常に高いと彼らは考えている」と彼は言った。「我々が求めているのは、巨大なリターンと、巨大で大きなリスクだ。それが我々の狙いである」。


