2026.05.15 12:30

紛争の影響が欧州の夏の観光シーズンを直撃か

アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ国際空港に駐機するエミレーツ航空の航空機。2024年11月8日撮影(Getty Images)

アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ国際空港に駐機するエミレーツ航空の航空機。2024年11月8日撮影(Getty Images)

観光業は、不安定な情勢による波及効果をいち早く受ける分野の1つだ。たとえ旅行先で直接紛争が発生していなくても、地理的な距離や認識、さらには燃料不足や物価高といった現実的な支障によって、旅行者の行動は急速に変化する。

地中海で3番目に大きく、最も人口の多い島であるキプロスでは、最大の産業である観光業が打撃を受けている。イランからわずか1200キロの距離にある同国では、3月上旬に英海軍基地が攻撃を受けた。米ニュースサイト「ポリティコ」によると、各国政府が自国民に対し、キプロスへ渡航する際には十分注意するよう勧告したことにより、旅行の中止が相次いでいる。航空運賃の高騰も状況を悪化させている。

現在、欧州連合(EU)の議長国を務めるキプロスは、加盟27カ国が参加する首脳会合の準備を進めている。同国はこの会合を機に「開放的かつ平穏で、活気あるビジネスが今もなお続いている」という印象を各国に与え、状況の好転を図りたいと考えている。首脳会合によってホテルやレストランの稼働率が高まり、観光業界が求める経済効果がもたらされることにもなるだろう。

航空機の燃料は十分にあるのか?

国際エネルギー機関(IEA)のファティ・ビロル事務局長は先月、欧州では航空機の運航を維持できるジェット燃料がわずか6週間分しか残っていないと明らかにした。エネルギー安全保障について32の加盟国に助言を行う同機関は、欧州が中東から輸入しているジェット燃料の少なくとも半分を補えない限り、「在庫は分岐点に達する」と指摘。それが航空便の欠航につながる恐れがあると警告した。

これは、ペルシャ湾に位置するエネルギー輸送の要衝ホルムズ海峡をイランが6週間以上にわたり封鎖していることによる影響の1つに過ぎない。通常、欧州向けのジェット燃料の20~25%が同海峡を通じて輸送されている。

3月にジェット燃料価格が2倍に跳ね上がったが、英格安航空会社イージージェットは今後もこの傾向が続くとみており、夏の航空運賃に影響が出ると予想される。ジェット燃料の価格は、航空会社の運営費全体の20%以上を占めている。

スカンジナビア航空は最近、1000便の運航を中止した。クロアチア、ギリシャ、ポルトガルといった観光業への依存度が高い国々が、この危機による影響を最も強く受けるものとみられる。独金融大手ドイツ銀行のアナリストも米紙ニューヨーク・タイムズに対し、航空各社は既に路線の削減を始めているため、旅行者にとって選択肢が少なくなる可能性があると語った。

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翻訳・編集=安藤清香

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