2026.05.15 12:30

紛争の影響が欧州の夏の観光シーズンを直撃か

アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ国際空港に駐機するエミレーツ航空の航空機。2024年11月8日撮影(Getty Images)

紛争地から離れていても影響は容易に波及する

たとえ直接紛争に巻き込まれていない国であっても、地理的に同じ地域にあるというだけで観光業に影響が及ぶことがある。米ブルームバーグ通信が指摘するように、観光は任意の支出だ。つまり、必ずしも生活に必要なものではないため、消費者の選択に直接関係のない要因や出来事によって、旅行への意欲が容易に失われてしまうのだ。

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政治情勢、感染症、紛争はその好例だ。2014年に西アフリカ諸国でエボラ出血熱が流行したことで、ガンビアでは感染例が1件も確認されていなかったにもかかわらず、ホテルの予約が65%減少した。最近の例としては、2022年にロシアがウクライナへの侵攻を開始したことで、軍事作戦の影響を直接受けていない近隣のワルシャワ、プラハ、ブラチスラバ、ブダペストの観光客が減少したことが挙げられる。

平和、安全、治安はあらゆる経済活動にとって不可欠であり、特に観光客がリスクを避ける傾向にある旅行業界においてはなおさらだ。地政学的な緊張の焦点に近い場所への観光は、ほぼ確実にその余波を受けることになる。また、世界の貿易全体の3分の1近くがホルムズ海峡を経由していることから、多くの欧州諸国が食料備蓄を検討しているという状況も背景にある。さらに、ブルームバーグ通信が指摘したような事態を招く可能性もある。それは飛行機に乗れないことへの恐怖、つまり、航空便が欠航し、緊急時に脱出できずに取り残されてしまうかもしれないという不安だ。

地政学的な懸念と経済的な不安

航空運賃の高騰や欠航、燃料不足、路線削減といった懸念に加え、安全性の問題も、経済的な不安や全般的な不確実性という一般的な感情と相まって、人々の心を重くしている。

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ブルームバーグ通信によると、2020年以降、米国の消費者物価指数は上昇しており、当時1ドルだったものが現在は1.26ドルとなっている。食料品、電気代、自動車保険では価格上昇幅がさらに大きい。経済的な圧迫を感じているのはすべての層に及んでおり、比較的裕福な消費者でさえ、ウォルマートやダラーツリーといった量販店に足を運んでいる。

ニューヨーク・タイムズは、多くの航空会社が燃料費の高騰を補うため、航空券に追加料金を上乗せしていると報じた。ユナイテッド航空やジェットブルー航空に続き、デルタ航空も手荷物1個につき10ドル(約1600円)の追加料金を課すようになった。航空業界コンサルタントのロバート・マンは同紙の取材に対し、こうした追加料金は一度導入されると「定着」し、撤廃されにくいと指摘した。

紛争は物価を押し上げ、物資の供給を混乱させ、旅行者の警戒心を強めるため、紛争地から遠く離れた場所でも観光業は打撃を受けることになる。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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