ゲーム会社の共同経営を経て、保険会社への不満からCorgiを創業
サンディエゴで育ったラクアの両親は、片方が言語学教授、もう片方が保険会社の弁護士だった。そう聞けば、彼が保険新興企業を創業する運命にあったと思うかもしれない。しかし、彼には当初、別の構想があった。子どものころにプログラミングを学んだラクアは、コロンビア大学在学中にソーシャルメディアアプリの開発を始めた。彼はそのアプリを、新興企業界隈で知り合ったスタンフォード大学の友人、エミリー・ユアンに試してもらった。
その後、2人はPicnicというアプリの共同創業者となった。このアプリは最終的にBasket Entertainmentというゲーム会社へと姿を変え、2人はBasketでの実績により、「Forbes 30 UNDER 30」2024年版に選ばれた。
ラクアが保険分野での起業を思い立ったのは、Basket Entertainmentの運営を通じて保険会社との間で不満の残る経験をしたことがきっかけだった。あるときは、保険の見積もりの提示が遅れたことで、重要な契約が危うくなった。別のケースでは、ラクアが会社に支払われるべきだと考えた著作権関連の保険金請求について、保険会社が支払いを拒否した。ラクアは、もっと良いやり方があるはずだと考えた。そこで2年前、ラクアとユアンはBasketを離れてCorgiを創業し、Yコンビネータの2024年夏期プログラムに参加した。
巨大で競争の激しい保険市場で、企業文化を前面に出す
Insurance Information Instituteによれば、保険市場の規模は、米国のみで1兆7000億ドル(約270.3兆円)という巨大なものだ。一方で、この市場には既存の大手企業に加えて、LemonadeやVouch Insuranceのような新興企業も参入し、競争は激しい。Corgiの共同創業者が、企業文化で目立とうとしているのは、おそらくそのためだ。
同社のカルチャーの象徴の1つが、社内で飼われているペットのトゥルーディだ。この犬は特定の社員のペットではなく、社員が交代で世話をしている。誰も世話をしていない場合は、テレグラムのボットが社員に通知して注意を促す。どんな犬もそうであるように、トゥルーディも言うことを聞かないことがある。ラクアによると、彼女は自分の望みをかなえてくれる別の社員がいると、ある社員の指示を無視することがあるという。「飼い主がたくさんいることの問題が少し出ている。彼女はとても愛されているし、かなり甘やかされている」とラクアは言う。
週休2日の枠を超えて、社員に週7日勤務を求める新興企業
Corgiはまた、週7日勤務のポリシーでも知られるが、週休2日の枠を超えた働き方を社員に求める新興企業は、同社だけではない。学生の海外留学プログラムへの出願を支援するサンフランシスコ拠点のArrowsterも、週7日体制をとっている。「1週間が7日であることに、論理的な理由はない。歴史的な理由はあるかもしれない。だが、なぜ5日働いて2日休むのか」と、同社CEOのケネス・チョンは2025年、フォーブスに語った。データラベリングの新興企業Mercorや、AIカスタマーサービス企業Decagonのような勢いのある企業も、週6日勤務を取り入れている。中国のテック大手であるアリババやバイトダンスでは、午前9時から午後9時まで週6日働く「996」文化が、以前から社内に深く根づいている。
(編注:米国の労働法上の「適用除外」に当たる給与基準は、2026年のカリフォルニア州の場合、管理・運営・専門職などのホワイトカラーで年7万304ドル(約1118万円)、プログラミングなど高度な裁量業務を担うコンピューターソフトウェア専門職で年12万2573.13ドル(約1949万円)。これらの給与水準と職務内容の要件をともに満たす従業員には、雇用主の残業代支払い義務が生じない)
ラクアは、自身のスタンスにまったく悪びれていない。「本気で急成長を狙う新興企業をやるなら、本気のAI企業を目指すなら、そして週末に働かないなら、それは実質的に『静かな退職』と変わらない。なぜなら、その週末に働く人間が他にいるからだ」と、彼は職場で必要最低限の仕事しかしないことを意味するスラングを用いて語る。
Corgiの直近の資金調達ラウンドを主導したTCVのパートナー、アレクサンダー・ウォートマンは、新入社員に対して期待値は明確に示されていると語る。「彼らは会社がどのような野心を持っているのか、自分たちが何に加わろうとしているのかを理解している」。


