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2026.05.14 12:00

ChatGPTなどAIの「トークン」は新たな通貨か? ビジネスで知るべき新概念とコスト

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重要なトレードオフと指標

トークン評価の領域はなお発展途上だが、いくつかの潮流が見えてきた。

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従業員あたりのトークン予算

企業は、従業員のトークン予算を、給与や福利厚生に加えたコストの一部として捉え始めている。これは二重の意味を持つ。第一に、トークン支出が、オフィススペースや備品、出張予算などと同様、就労者コストの重要な部分であることを認めるものだ。第二に、最大限の生産性を維持するために、そのコストを使うことが従業員に期待されていることを示唆する。例えるなら、営業担当者に出張予算が割り当てられているのに顧客訪問の予約を一切入れず、予算を使わないようなものだ。目先の行動は企業のコストを抑えるかもしれないが、全体としては生産性と事業成果が低いというメッセージになってしまう。

トークン使用量の評価

とりわけAIコーディングが大量のトークンを消費するソフトウェア企業では、ソフトウェア開発のより大きな割合をAI活用に寄せることを奨励、あるいは義務化する傾向がある。評価の方法の1つは、全体量だけでなく特定ツール内の利用も含め、粒度の細かいトークン使用を追跡することだ。これは、トークンを望ましい成果と結びつける第一歩となる。先の営業の例に戻れば、営業担当者が出張予算を使い切るために全国を飛び回ることは技術的には可能だ。しかし、それらの出張が売上成果に結びついているか、成果単位あたりのコストとして妥当かは、別途評価が必要である。この潮流は、チームや従業員がトークン使用量を最大化するために不要で、場合によっては有害な手段を取るという、「トークンマクシング」という新たな論争的トレンドを生みつつある。

トークンの予算策定

トークンが貴重になり、トークンマクシングのようなトレンドが消費を押し上げる中、企業はトークンを、購入(必要なら確保も)を計画すべき資産だと認識し始めている。営業の例でいえば、すべての営業担当者がより低コストで移動できるよう、企業が航空会社と一括購入の運賃を交渉することに相当する。

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運用面の要素と課題

以上は直感的に理解しやすいが、トークンを基盤的なコストとして扱う発想は、企業が直面するいくつかの課題も生む。

すべてのトークンは同等か

答えは否である。トークンが十分に安くなれば、すべて同じとして扱い、会計プロセスを大幅に簡素化することでも足りるかもしれない。だが現状では、チームごとにトークンの使い方は異なる可能性が高く、トークンと生産性の結びつきも職務機能によって変わるだろう。たとえば、営業担当者の出張は特定の顧客や販売に直結しうる一方で、エンジニアが社内会議のために移動することも必要ではあるが、投資対効果との結びつき方は異なる。

トークンをどう追跡するか

これは最も克服しやすい課題かもしれない。現在のLLMは、この目的のためのエンタープライズ機能を提供している。トークン利用がより基盤的になるにつれ、クラウドコストの追跡・最適化製品が存在するのと同様に、独立系ベンダーがトークン追跡やトークン管理のツールを提供することも期待できる。

トークン価格は標準化されているか

トークン価格は標準化されていない。各ベンダーがトークンと呼ぶものの定義も、トークン単価も、ベンダー間だけでなく同一ベンダー内ですら標準化されていない。航空運賃と同様、企業は複数ベンダーを選ぶ可能性が高いが、価格は時間と外部条件の双方で変動するだろう。トークンという概念(AI設計の単位)自体は共通でも、技術的進歩によってトークンと効果の関係は変化しうる。たとえば、より少ないトークンで動作する新たなAI技術が開発されれば、トークンと事業成果の結びつきは変わる。

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