アップル新CEO、ターナスにとっても勝ち筋がある理由
この移行は巧みな設計である。クックが地政学を担うことで、ターナスは新CEOとしては稀なものを得る。それは、集中できる余裕だ。彼の前にあるプロダクト課題は巨大である。AI(人工知能)をアップルのハードウェアとソフトウェアに意味のある形で統合すること、Vision Proのプラットフォームを育てること、そして価格に見合う次のiPhoneを作り上げること。これらはまさにターナスが取り組むためにあるような課題だ。就任初期の数年を外交ミッションのための移動に費やすべきではない。それはクックが引き受ける。
より大きな構図
クックは世界で最も価値ある企業の経営を恋しく思うのか、と問う人もいる。率直に言えば、彼は人々が想像する以上にこれを楽しむだろう。エグゼクティブ・チェアマンとして取り組む論点は、彼が本当に関心を寄せてきたものだからだ。プライバシー、サステナビリティ、人権に配慮したサプライチェーン。これらはクックにとって決して建前のスローガンではなかった。彼は本気だった。今彼は、それらを企業の舞台ではなく、地政学の舞台で追求できる。
この業界で筆者がキャリアを始めた頃、パーソナルコンピューターは珍品の一種だった。日常生活への影響力が多くの政府を上回るような組織を生み出すなど、誰も想像していなかった。クックが今進むのはそうした世界であり、四半期決算を管理する存在ではなく、より「政治家」に近い何者かとしてそれに向き合う。
歴史がクックの成功を裁定する。アップルが勝つのは、適材が、適所に、適時に収まったときである。これはその瞬間の1つのように思える。


