ドライバーや業界団体が起こした訴訟
もっとも、「自分自身が経営者になりたい」というドライバーの願望に訴えるこのモデルは、ときに法的な監視を招いてきた。1997年には、業界団体のオーナー・オペレーター独立ドライバー協会(OOIDA)が、プライムと関連会社サクセス・リーシングを提訴した。OOIDAは、ローが率いる2社が「独立系トラック運転手との契約を利用し、ドライバーの報酬から不適切な控除を行い、準備金口座に資金を留保し、ドライバー側が不公平だと主張するリース条件を課していた」と訴えた。OOIDAによれば、これらはいずれも連邦リース規則に違反していた。
しかし、5年に及ぶ訴訟の末、裁判所はプライム側の主張を認めた。OOIDAのトッド・スペンサー会長は「彼らは明らかに、自分たちが行っていることを基本的に認めさせる契約を作るのがうまい」と語る。
2020年、最低賃金法違反による集団訴訟
近年では、プライムは2020年、最低賃金法に違反したとの主張をめぐる2件の集団訴訟で和解し、現職および元プライムのドライバー2万6000人超の集団に最大2800万ドル(約44億円)を支払うことに同意した。そのうちの1件は、ドミニク・オリベイラが起こした訴訟である。プライムの報酬制度が勤務時間ではなく走行距離に応じて賃金を支払い、控除によって報酬を最低賃金未満に押し下げ、一部の新人ドライバーを独立請負業者として誤って分類していたと主張するものだった。
もう1件のロッキー・ヘイワースが起こした訴訟は、プライムの「Bシート」と呼ばれる先輩ドライバーと組んで走る新人ドライバーに焦点を当てたものだった。ヘイワース側は、プライムが採用していた1マイル当たり数セントの報酬体系や週ごとの定額報酬の仕組みによって、こうした新人ドライバーの労働時間に対する実質賃金が、最低賃金を下回っていたと訴えた。
強制仲裁を退けた連邦最高裁の8対0判決
オリベイラの訴訟は連邦最高裁まで争われた。最高裁は8対0で、会社がドライバーを「独立請負業者」と呼んでいても、運輸労働者については連邦仲裁法の例外規定が適用される場合があると判断した。このため、プライムは対象となるドライバーに対し、裁判ではなく仲裁で解決するよう強制できなくなった。
ドライバーを引きつけるプライムの待遇
だが、こうした訴訟にもかかわらず、数多くのドライバーがプライムで働くことを気に入っているとフォーブスに語っている。「プライムではとても良い経験ができた」と語るのは、フロリダ州在住の元ドライバー、モンリコ・カミングス(30)だ。彼は、プライムからリースしたトラックで2年間働いて稼いだ資金を元手に自分のトラックを購入し、現在は独立して働いている。カミングスがプライムで働き始めた初年度の労働時間は週55〜60時間。売上高30万ドル(約4700万円)に対して、税引き前で約15万ドル(約2400万円)が手元に残ったという。
有資格ドライバーの不足に長年悩まされてきた運送業界で成長を続けるプライムにとって、採用は最重要課題だ。同社のホームページで最初に目に入るのはドライバー応募ページへのリンクで、関心を持つ人に向けたリース購入プログラムでは「頭金なし」「信用調査なし」をうたっている。同社はまた、オレゴン州ウィルソンビルからイリノイ州ミヌーカ、ペンシルベニア州ピッツトンまで、全米11カ所の拠点でドライバー以外の社内職も募集している。
ウェブサイトには、笑顔のトラック運転手とその家族の親しみやすい写真が並ぶ。そこに写る多くのドライバーは、好きなスポーツチームの巨大ロゴや愛国的なスローガンをあしらった、色鮮やかな自分仕様の大型トラックに乗っている。
ドライバーにとっては、利益と同じくらいライフスタイルも重要だ。彼らの多くは、セカンドキャリアとしてトラック運転手の仕事に就いた人々だ。同社の価値観を示す声明には「人生は短い。楽しまないのはもったいないと我々は考えている」とある。プライムは家族向けの社内イベントも数多く開いており、その中には、100万マイル以上を無事故で走行したドライバーをたたえる夕食会「ナイト・オブ・ミリオネア」もある。
「オーナーオペレーター」としてのドライバーの成功例
ケンタッキー州のドライバー、アダム・ワルチェビッチ(59)は2017年にプライムに入社し、まず会社所属のドライバーとして働いた。その後、短期リース契約に移り、貯蓄を元手にプライムのリース購入プログラムを通じてトラックを購入したという。ワルチェビッチはやがて他のドライバーを育成し、自分のトラックを彼らにリースし、利益を再投資しながら、6台のトラックを運用する事業を時間をかけて築いた。
プライム専属で輸送を請け負うこの事業は2025年、約130万ドル(約2億1000万円)の売上高を生み出した。そこからドライバーへの賃金を含む経費を差し引くと、税引き前で約20万ドル(約3200万円)がワルチェビッチの手元に残った。「オーナーオペレーターになるためには、学ぶべきことがたくさんある。ビジネス感覚を持たなければならない」と彼は語る。
ドライバーから忠誠を集める創業者ローの人柄
プライムの事業の成功と、ドライバーや従業員の忠誠心は、創業者の強い個性が事業上の逆風や法的な課題を乗り越える力になり得ることの証明だ。
「プライムで本当に気に入っていたのは、実際に拠点に行くと、オーナーがドライバーと本当に近い距離にいたことだ」と、コロナ禍の2年間にプライムで働いたコロラド州在住のハーブ・ベレス(42)は語る。「彼は一緒にバスケットボールをしてくれた。そこに座って、普通に話をしてくれた。苦労についても話してくれた。彼自身が、仕事の大変さを理解しているからだ」。


