レアアース・レアメタルは中長期的なトレンドになるかもしれない
活況を呈するレアアース関連銘柄。米中・日中摩擦を背景に続く好調な相場の現状と課題、中長期的な視点での注目企業について、岩井コスモ証券の嶋田和昭が解説する。
現在、株式市場では「国産」を巡るレアアース・レアメタル関連銘柄が大きな注目を集めている。昨年末から年始にかけて相場の中核テーマとなり、依然として投資家の熱い視線が注がれている。ただ、足元の動きを見ると、腰を据えて業績を見るというよりは将来への期待が先行しているのが実態だ。例えば、中核銘柄の東洋エンジニアリングは、内閣府と海洋研究開発機構(JAMSTEC)による南鳥島沖での試掘プロジェクトへの関与を公表している数少ない企業として株価が急騰していた。ところが2月、通期の業績見通しを50億円の最終黒字から150億円の最終赤字に下方修正したため、ストップ安となった。
通常、株式市場におけるテーマ物色は突発的なニュースで短期的に終わることが多い。だが、今回のレアアース相場は2025年の春ごろから1年くらい続いている。発端は25年4月のトランプ米大統領の相互関税発表と、これを受けた中国側のレアアース輸出規制の動きによる米中摩擦だった。同年11月には、就任間もない高市首相の「台湾有事」を巡る発言から日中間の緊張が高まり、日本に対するレアアース輸出が止まるのではないかとの懸念から再び相場が活気づいた。つまり、レアアース関連株は「米中・日中の摩擦」という極めて政治的な要因で動いているのだ。
また、今年2月に入ってからは、南鳥島沖での「レアアース泥」の試掘成功のニュースが相場を大きく後押しした。来年2月には一日あたり350トンの泥を採取する計画もある。しかし、ここで直視しなければならないのは「コスト」の問題だ。日本単独で開発を進めても、圧倒的に安価な中国産には到底対抗できない。したがって、事業化に向けては政府の全面的な関与が不可欠だ。米国やG7諸国と協調してサプライチェーンを構築し、最低価格を保証するなどの制度的な下支えがなければ、民間企業が本格的に参入するのは難しいだろう。今後はまさに「国策」としての本気度が試される。
「レアアースフリー」にも注目
こうした前提を踏まえたうえで、どのような企業に注目すべきか。南鳥島沖の採掘作業では、洋上での貯蔵設備や採掘システムが必要となる可能性がある。例えば、三井海洋開発は海に浮かぶ浮体式の石油・天然ガス貯蔵施設などで豊富な実績をもつ。古河機械金属は鉱山開発の採掘ドリルなどの技術を海底資源向けに応用することを目指す。
双日は、レアアースのなかでも中国に偏在する「中重希土類」について、豪州のレアアース生産大手ライナス・レアアースからの輸入を拡大する動きを見せている。 海洋土木に強みをもつ東亜建設工業や、九州にレアアースの研究開発拠点を新設する三井金属、ネオジム磁石を手がける信越化学工業やTDK、大同特殊鋼の動向も見逃せない。
レアアース関連銘柄への投資は、国際政治の動向やレアアースが不要となるような技術革新などのリスク要因をはらんでいる。一方で、レアアース不要のセラミックス素材を開発する第一稀元素化学工業などが関連銘柄として買われていることも興味深い。短期的な株価の乱高下に惑わされることなく、技術力や実績、「国策」への貢献度を冷静に見極める中長期的な視点が肝要だ。
嶋田和昭◎早稲田大学卒業後、旧岩井証券に入社。新卒から日本株のディーリング業務に12年間従事。債券部、投資調査部国際課(米国株担当)を経て、現職の日本株ストラテジストに。


