気候変動を巡る議論
LNGを巡る議論で特に興味深い点は、環境問題に関する議論がいかに急速に進化しているかということだ。批判派は、LNG輸出は気候目標と相容れないと主張する。しかし、エネルギー企業の幹部の多くは、理想化された再生可能エネルギーの未来ではなく、多くの国が現在実際に消費している燃料と比較すべきだと主張する。
ブリットンCEOは次のように語る。「当社の天然ガスは世界で最も環境に優しい。エネルギー安全保障が脆弱な世界の3~4割の国々に対し、現在使用しているものよりもはるかに環境に優しいエネルギーを供給しないのは、極めて傲慢(ごうまん)なことだ」
スーキ元CEOも同様の主張を展開した。「人々は化石燃料からの脱却について語るが、世界の半数は依然として石炭、木材、ディーゼル、さらには動物の排せつ物さえも燃やしている。LNGはこれらより50~80%環境に優しい。現実的な唯一の解決策だ」
世界的な視点で見れば、この主張を否定するのは難しい。中国は膨大な量の石炭を消費し続けている。東南アジアでは今も石炭火力発電所が建設されている。アフリカの多くの地域では、信頼できる発電所が整備されていない。
再生可能エネルギーは大幅に拡大するとみられるが、石炭を代替するには、需要に応じて出力を調整できる予備電源が必要だ。世界のほとんどの地域では、天然ガスが最も現実的な選択肢となる。
戦略的資源としてのLNG
LNGを巡る議論は、もはや単なる経済問題にとどまらない。地政学や国家安全保障の問題として、重要性を増している。スーキ元CEOはこう語る。「LNGは今や安全保障上の資源だ。米国が供給を制限すれば、他国がその穴を埋めるだろう。しかし、その資源は環境に優しくも、信頼性が高いものでもないだろう」。これが、現在のLNG市場から得られる究極の教訓かもしれない。
世界のエネルギー需要は減少しておらず、むしろ増加している。AI、工業化、電化、生活水準の向上といった要因が消費を押し上げている。問題は、そのエネルギー資源がどこから来るかだ。
現時点では、米国は世界で最も信頼できる大規模なLNG供給国となる可能性を高めている。それは、世界的な需要が一夜にして突然現れたからでも、他の生産国が消滅したからでもない。信頼性そのものが、エネルギー市場で最も価値のある商品になったからだ。


