この現実は、データセンターの開発が天然ガス施設の拡張と並行して加速している米南部テキサス州で明らかになりつつある。米国の主要なLNG輸出港であるコーパスクリスティ港のケント・ブリットンCEOは筆者の取材に対し、次のように述べた。「向こう5年間で真に成長するのはLNGだ。需要は拡大の一途をたどっている。特に、AIやデータセンターが世界中で急成長していることが大きい」
エネルギーの信頼性が重視される時代
エネルギー市場では、単に商品の価格が決まるだけではない。信頼性も価格形成に大きく影響する。
LNGの買い手は長年にわたり、最低価格での調達に重点を置いてきた。しかし、エネルギー供給源をロシアに集中させていた欧州の弱点がウクライナ侵攻で露呈したことを受け、買い手は供給の安定性を重視するようになった。現在、中東情勢が同じ教訓を改めて示している。
スーキ元CEOは、主要な供給国の信頼性が低下すると、市場全体がリスクを再評価せざるを得なくなると指摘する。それによって、必ずしも貨物の流れが止まるわけではない。買い手は供給源の多様化を進め、追加契約を結び、安定性のために割増金を支払うようになる。
こうした環境で、米国には複数の強みがある。
・ 膨大なシェールガス埋蔵量
・ 拡大する輸出設備
・ 成熟した資本市場
・ 比較的透明性の高い規制体制
・ 多くの輸出競合国より低い地政学的リスク
最も重要なのは、米国には生産量を急速に拡大する能力があることだ。柔軟性で米国に匹敵する国はほとんどない。
発展する米国のLNG産業
米国のLNG産業はまだ発展の初期段階にある。すでに建設中のプロジェクトにより、今後数年間で輸出能力は飛躍的に拡大する見込みだ。メキシコ湾岸地域の施設は拡大を続けており、パイプラインも拡張され、輸出ターミナルは大幅な取扱量増加に対応できるよう準備を進めている。
その変貌を最も如実に示す例は、恐らくコーパスクリスティ港だろう。同港は米国最大の原油輸出港として知られているが、世界でも最も重要なLNG取引拠点の1つにもなりつつある。シェニエール・エナジーのコーパスクリスティ液化施設は、すでに世界最大級のLNG輸出ターミナルの1つであり、拡張プロジェクトも進行中だ。ブリットンCEOは、大型LNG運搬船に伴う設備上の課題を含め、同港は増加する輸送量に積極的に対応していると説明した。
だが、この動きは単一の港湾にとどまるものではない。世界のLNG市場は、供給が需要の増加に追いつかない局面を迎えようとしている。欧州には長期的な代替供給源が必要だ。アジアでは都市化と電化が進んでいる。AIの普及により、世界のほぼすべての地域で電力消費量の予測値が増加している。多くの発展途上国では依然として近代的なエネルギーの安定した供給が確保されていない。


