──「富の階段」ごとの戦略を示しつつ、全階層向けの汎用的な戦略として、支出の「0.01%ルール」、キャリア選択の「1%ルール」を提示していますね。
マジューリ:「0.01%ルール」とは、各階層に応じた支出の目安だ。支出額が資産の0.01%なら、「取るに足らない額」となり、資産に影響しない。
投資による資産の増加(インフレ調整済み)が日に0.01%だとすると、年利回りは3.7%だ。3.7%の年利回りがあれば、毎日、自由に資産の0.01%を消費しても、資産を維持できるということだ。
一方、「1%ルール」は収入を判断する指標だ。新規顧客などを受けるべきかどうかを決める際、その収入で資産が1%超増えるのなら、引き受ける。増えないのなら、時間を費やす価値はない。
──新著で、武道などの学習段階を示す「守破離」の法則に触れていますね。日本の人々は、投資の基本を「守る」第1段階から、ルールを「破り」変化に適応する第2段階に進むべきですか。
マジューリ:「破」の段階で大切なのは、変化を認識することだ。デフレが続いた日本では現金の保有が最適な戦略だったが、インフレで状況が変わった。
新NISA(少額投資非課税制度)による株高時代には、従来の戦略を新しい世界にどう適応させていくかが重要だ。「富の階段」構想が生まれたのも、「永遠に買い続ける」のではなく、人生の変化に応じた戦略変更が必要だと気づいたからだ。
世界の状況の変化に対応するには、グローバルなインデックスファンド(オルカン)から始めるのがいい。米国の株価は昨年以来、今ひとつだが、欧州やアジアの株価は相対的に好調だ。節目が変わり始めた。今後は分散投資の重要性が増す。
何年くらいの投資経験で、第2段階の「破」に進むべきか? 投資ルールの理解が早い人もいれば、遅い人もいるため、一概には言えない。
──資産運用に関心をもつ日本の読者には、「富の階段」のレベル2か3の割合が多いと推測します。
マジューリ:レベル2(資産1万~10万ドル未満の労働者層)は教育が重要だ。良い学校に入れば、良い仕事に就ける。
レベル3は投資だ。同レベルの投資アプローチ法が将来の資産を左右する。買い続けよう。資産が増え始めるレベル3とレベル4(資産100万~1000万ドル未満、中流の上)では、投資が資産形成に大きな違いを生む。時間を味方に貯蓄と投資に励めば、資産が増え続ける。
──日本では、通貨以外はバブルさながらに好調です。急落リスクを指摘する声もありますが、買い続けるべきでしょうか。
マジューリ:カギは分散投資だ。全資金をひとつの資産クラスに投じるとボラティリティが高まるが、分散させていれば、危機が生じても、保有資産の一部が下落するだけで済む。


