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2026.05.12 12:30

アンソロピックの新機能「ドリーミング」、自己改善型AIエージェントを実現へ

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米国時間5月5日の朝、サンフランシスコの改装された工業スペースで、ダリオ・アモデイはAnthropic(アンソロピック)第2回年次「Code with Claude」カンファレンスに集まった数千人の開発者の前に立ち、AI業界が自らを語る際の前提に、まだ織り込まれていない数字を明かした。

アモデイによれば、Anthropicは2026年第1四半期に年率換算で10倍の成長を計画していた。実際の結果は80倍だった。ClaudeプラットフォームのAPI利用量は前年比で約70倍に増加している。Claude Codeを利用する平均的な開発者は、今や週20時間をこのツールとともに過ごしている。「私たちは年10倍成長の世界に向けて、非常に周到に計画しようとしていた」とアモデイは聴衆に語った。「それでも80倍になった。だからこそ計算資源(コンピュート)では苦労しているのだ」。

この1つの開示は、過去30日間にAnthropicがニュースの中心にいたほぼすべての理由を説明する。アマゾンとの330億ドルの計算資源契約、Microsoft Azureの拡張、Google TPUの合意、スペースXのメンフィス・データセンターのリース。10倍成長ではどれも整合しない。80倍ならすべてが腑に落ちる。

しかし、この開示が見出しになったわけではない。見出しは、意図的に風変わりな名称を持つ新たなプロダクト機能だった。AnthropicはAIエージェントに夢を見させることを教えている

Claude Managed Agentsの新機能、「ドリーミング」の正体

この「ドリーミング」は、5月6日にリサーチプレビューとして導入された。Claude Managed Agents内で、エージェントが能動的に作業していない間もバックグラウンドで稼働する仕組みである(編注:Claude Managed Agentsは、クラウドホスト型のAIエージェント実行基盤[ハーネス])。Anthropicは名称を慎重に選んだ。このシステムは、人間の認知において夢が果たすと理論化されていることを行う。過去の経験を振り返り、パターンを見出し、記憶を統合し、もはや有用でないものを破棄する。

実運用では、ドリーミングはスケジュールされた非同期ワークフローとして機能する。Claude Managed Agents(コーディング・エージェント、金融アナリスト・エージェント、カスタマーサポート・エージェント)を運用するエンタープライズ顧客は、ドリーミングを設定し、エージェントの過去セッションを一定の間隔で定期的に見直せる。システムはエージェントのメモリーストア、過去の会話のトランスクリプト、過去タスクの結果を確認し、次の4つを行う。

・セッション間で重複する情報を統合する

・適用されなくなった古いエントリーを削除する

・エージェントが繰り返してきたミスや、チームが確立してきた特定の嗜好といった反復パターンを強調する

・将来のセッションが以前のセッションを土台にできるよう、エージェントのメモリー層を再編成する

出力は、企業が自動承認することも、デプロイ前にレビューすることもできる、精選されたメモリーストアである。Anthropicは、元のセッションのトランスクリプトは手を触れずに残ると明確に述べた。ドリーミングのプロセスは別の層で動作するため、チームは変更を有効化する前に安全にレビュー(検証)できる仕組みになっている。

これは、この規模でこれまで提供されてきたものとは真に異なるカテゴリーのAI能力である。これまでのAIエージェントは、ステートレス(各セッションはゼロから開始)であるか、すぐに埋まる狭いコンテキストウィンドウしか持たなかった。ドリーミングは、より長期記憶に近いものを生み出す。6カ月間ドリーミングしてきたエージェントは、数百の過去タスクからパターンを蓄積し、どこで失敗してきたかを理解し、人間が手作業で再学習させることなく、自身のワーキングメモリーを段階的に改善してきたことになる。

同日公開の2機能、アウトカムズとオーケストレーション

この機能は、同じく5月6日にリサーチプレビューからパブリックベータへと移行した、「アウトカムズ」「マルチエージェント・オーケストレーション」という2つの機能と同時に提供された。

アウトカムズは、エンタープライズチームが若手社員の成果物をレビューするのと同じように、評価基準(ルーブリック)に照らしてエージェント自身が自分の仕事を評価できるようにする。

マルチエージェント・オーケストレーションは、1つのエージェントが複雑な多段階ワークフローを通じてサブエージェントを調整できるようにする。Anthropicの発表によれば、ネットフリックスはプラットフォームチーム向けにマルチエージェント・オーケストレーションをすでに導入している。

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