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経済・社会

2026.05.12 11:45

「好戦的に見られないようにする」と「強そうに見える」の間で揺れる自衛隊

Heru - stock.adobe.com, SWORNALY - stock.adobe.com

では「象にドクロと小銃」のロゴは非常識なのだろうか。世界の軍隊を見渡せば、「強さ」をアピールするロゴであふれている。米軍の場合、国鳥のハクトウワシをあしらったロゴが多いが、「ドクロ」「小銃」「ミサイル」「爆弾」などは定番と言ってもよいくらい、あちこちで見られるアイテムだ。

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松村氏は「昔の自衛隊は、好戦的だとみられないよう、こうした軍隊の『定番アイテム』を使うことを意識的に避けていた」と語る。戦前の軍国主義やアジア諸国を侵略した歴史を繰り返さないというメッセージになった。自衛隊の帽章は「桜」を使うが、前身にあたる警察予備隊や保安隊の帽章は平和の象徴である「鳩」だった。そのうえで、松村氏は今回の「象とドクロと小銃」ロゴについて、「世間で、自衛隊も軍隊であり、強い存在であってほしいという意識が高まっていることを象徴したものだろう」と指摘する。

最近の自衛隊の階級の名称変更や、小泉進次郎防衛相が自身のXに海自幹部と豪州海軍幹部の写真を投稿して「軍人同士の友情」と表現したこと、さらには陸自隊員の自民党大会での国歌斉唱などの動きは、すべてこうした世論の変化を受けたものだろう。少し前までは、こうした「新しい意識」が増え続けていたが、第2次トランプ政権発足後は、世界の安全保障が揺れているため、「古い意識」も少し増えてきている印象を受ける。

松村氏は、今回のロゴ取り下げについて「昔からの自衛隊の意識が働き、事なかれでとりあえず控えておくという判断だったのだろう。一方、私的に、単純に格好良いという感覚でつくったものだから、公的に規制することは考えていないという判断もあり得た」と語る。

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中国軍は早速、撤回したロゴの背景に兵士の亡霊を加え、ドクロに戦闘帽をかぶせた新しい図柄をXに投稿した。今回の騒ぎを利用して、日本の国論を分断させる狙いがありありと見て取れる。大切なのは、国歌斉唱やロゴ、階級呼称などは本質的な問題ではなく、国民の間で自衛隊について「普通の軍隊と考えるか、他国よりも厳格に自衛に特化した組織を目指すのか」で議論をし、一定のコンセンサスを得ておくことだろう。

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文=牧野愛博

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