経済・社会

2026.05.12 11:45

「好戦的に見られないようにする」と「強そうに見える」の間で揺れる自衛隊

Heru - stock.adobe.com, SWORNALY - stock.adobe.com

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最近、陸自第1師団の第1普通科連隊(東京都練馬区)がX(旧ツイッター)で公開した第4中隊のロゴマーク(ロゴ)が「好戦的だ」という批判を浴び、ロゴの使用を撤回する騒ぎが起きた。ロゴは胸にドクロをつけた象が小銃を構えているデザイン。隊員たちは単純に「格好のよいものを」と考え、AI(人工知能)を使って作ったという。陸上自衛隊東北方面総監を務めた松村五郎元陸将は、この騒ぎの背景には、最近出てきた「強い自衛隊であってほしい」という意識と、従来から根強くある「好戦的であってはならない」という意識とのせめぎ合いがあると指摘する。

松村氏によれば、陸上自衛隊のマークには、公式と非公式のものがある。公式の部隊章は、師団や旅団など団クラス以上のもので、陸上幕僚監部も含め計27種ある。陸自服装規則で定められ、服の袖のどの位置につけるか、ミリ単位で決まっているという。部隊章にはそれぞれ特徴があり、上部の赤色は普通科、オレンジ色は機甲科、黄色は特科などと決まっている。数字と組み合わせれば、「○○師団第○○普通科連隊」というように、一目で所属がわかる。規則があるかから、勝手にデザインを変えられない。

今回の騒ぎになったロゴは、非公式なもので、隊員たちが団結心や士気向上を狙って自由にデザインされたものだ。松村氏によれば、1990年代後半ごろからパソコンの普及と共にロゴ作りが急速に広まった。松村氏は「中隊レベルまで広がっているので、陸自全体で500から1千くらいの非公式ロゴがあるのではないか」と語る。松村氏が2004年、第3次イラク復興支援群を率いた際は、「東北出身の部隊だから」という理由で、イヌワシと津軽富士をあしらったロゴをつくり、記念グッズにつけるなどして利用したという。

非公式ロゴは過去、師団や連隊内などで競技会があるとき、中隊を応援する旗などに使われていた。最近は、連隊単位で広報のために、フェイスブックやXなどでロゴをアピールし、一般の目に触れるようになっていた。松村氏は「部隊がアカウントをつくるとき、部隊長の許可を取る。今回も、連隊長のレベルで許可を出していると思う。ロゴを発表することは、職務の内容を明かす行為ではないので、処罰対象にはならない」と話す。

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文=牧野愛博

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