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事業継承

2026.05.13 17:45

農水省が初策定「農業M&Aガイドライン」 プレイヤーの新陳代謝は、本当に進むのか

農家の事業承継問題は深刻化している

──農業分野に参加する新規プレイヤーが増える兆しはありますか。

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藤田:農業を選ぶ若者の意識も変わりつつあります。ここ10年ほどで、就職活動で農業法人や農業事業を展開する企業を選択肢に入れる学生が増えてきました。少子化が進む中で農学系・食品系の学部を新たに新設する大学が出てくるなど、大学側も農業を軸にした新しいカリキュラム作りに動いています。新しい仕事のあり方として、既存の農業法人の経営を引き継ぐというキャリアチェンジの選択肢が、少しずつ現実的になっています。

日本の強みは6次産業モデルにあり

──そもそも日本農業のポテンシャルをどう見るか。

藤田:規模やコストの面で制約があることは事実です。大豆やトウモロコシのような土地利用型作物では、広大な農地を持つ海外に価格競争力でかないません。しかし、施設園芸や果樹といった分野では話が変わります。限られた土地から高い収量を引き出し、年間複数回の作付けを行うなど、狭い国土を有効に活用する技術と知恵において、日本農業には確かな強みがあります。

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もう一つ、海外の農業者と話していて感じるのは、日本の農業経営者のノウハウの多様さです。海外では「うちは麦を7000ヘクタール」「酪農で何百ヘクタール」という単一品目・大規模特化型が主流です。一方、日本では1社で複数品目を手がけ、生産から加工・販売・小売までを一体で運営する経営者が、規模は小さくても一定数存在します。6次産業化と呼ばれるこのモデルは、日本の強みです。これだけのポテンシャルがある産業だからこそ、プレイヤーの新陳代謝を起こし、リスクマネーを呼び込む意味があると考えています。

ガイドラインは手引きに過ぎない。後継者不在の農業者が7割に達すると危惧される10年後まで、残された時間は決して長くはない。円滑な承継が絵に描いた餅で終わるか現実のものになるかは、大企業や金融機関、若手世代といった新たな担い手を、農業分野にいかに呼び込めるかにかかっている。


大和フード&アグリ◎2018年に大和証券グループ本社の出資により設立し、大分・静岡・北海道の農園子会社3社を運営。6ha以上の環境制御型温室でトマトやパプリカの生産・販売を行いながら、農業M&Aのノウハウを蓄積。23年からは伴走型の農業コンサルティングサービスも展開する。

藤田 葵(ふじた・あおい)◎生産部副部長。大手コンサルティングファームを経て、植物工場スタートアップにて事業開発、農業人材育成に携わる。生産子会社の代表取締役、工場長を経験。2020年から参画したDFAでは中期経営計画策定、マーケティング・自社ブランド立ち上げを担当し、現在コンサルティング事業責任者。東京大学大学院(修士)、政策研究大学院大学(修士)。明星大学経営学部非常勤講師。

飯野 祥行(いいの・よしゆき)◎生産部次長。中央官庁にて農業政策立案に従事後、日系シンクタンク、日系SIerにおいて企業・自治体向けの戦略策定支援およびDX支援を担当。農業および地域の持続的発展に取り組む。2025年よりDFAに参画し、官公庁向け調査計画や企業の農業関連事業における戦略策定支援を推進。東北大学大学院(修士)。

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