アニメ『サザエさん』(毎週日曜日18時30分よりフジテレビにて放映)の舞台は、放映が開始された1969年の日本をそのまま残している。磯野家の玄関には黒電話が置かれ、御用聞きのサブちゃんは勝手口に注文を聞きにくる。そんな昭和な世界を、今の高校生はどう見ているのだろうか。おそらく違和感だらけなのではないかと推測されるが、じつはそうでもなかった。
10代と現役高校生を対象としたマーケティング情報サイト「ワカモノリサーチ」は、全国の現役高校生253人を対象に「サザエさんを見て違和感を覚えたことがありますか」というアンケート調査を実施した。それによると、「ある」が約35パーセントだったのに対して、「ない」は65.2パーセントと多数だった。

違和感がない理由を聞くと、「小さいころから見ていて、そういう世界観だと思っているから」、「生まれたときからあるものだから」、「あれが当たり前かのように毎週日曜日の日課になっていた」と、子どものころから見ていたので、「そういうものだ」とすんなり受け入れている感じだ。
また、「ただのアニメだから」、「アニメと現実をいっしょに考えないから」など、アニメだから何があってもおかしくないというスタンスの高校生もいる。さらに「普通の家族だと思う」、「日常だと思う」など、あの世界観を「普通」だと受けとめる意見もあった。
どうやら『サザエさん』は、時代劇などと同じく、現代とは時代背景が違っていても、そういうものだと受け入れられているようだ。そこに、時代を超えた平和な家族の普遍性を見いだして、「普通」だと感じているのだろう。
その一方で、サザエとカツオの歳が離れすぎている、家族構成がわからない、サザエさんの髪型がおかしいなど、表面的な違和感を訴える声もあった。現代劇として見てしまうと、そう感じることもあるだろうが、それは時代劇のちょんまげを「髪型がおかしい」と批判するのと同じことだ。
サザエは波平と前妻との間の子で、後妻のフネとの間にできたのがカツオとワカメという説があるが、それには根拠がない。ここは、『サザエさん』の新聞漫画の連載が始まった1949年(終戦の翌年)がベースであることを考慮すべきだろう。波平は戦争に行っている。筆者の自説となるが、徴兵前にサザエが生まれ、復員後にカツオとワカメが生まれたと考えるのが自然だ。また当時は、戦争で先行きが見えず、子どもを作るのを躊躇った夫婦が多かったそうだから、歳の離れた兄弟姉妹がいるのは当たり前のことだったようだ。
アニメの『サザエさん』は、1960年代から70年代の日本がベースだ。スマホはおろか、携帯電話もパソコンもない。かろうじて電子レンジがある程度。それでいて、車に乗るときは後部座席でもシートベルトを締めるなど、微妙な時代設定のチグハグさが視聴者に混乱を招いているのも確かだ。それはともかく、『サザエさん』は昭和の物語なのだ。戦後の時代背景を念頭に置いて見ることで、いろいろ納得のいく部分がある。そのあたりは、探求学習のテーマにいいかもしれない。



