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2026.05.15 13:30

「才能」より「場」から生まれる福岡が示すイノベーションの3要素:マクアケ 中山亮太郎

イノベーションが起きやすい3つの要素

ティム氏が言うには、イノベーションが起きやすい地域にはソフト面に3つの要素が必要だという。第一に、その地域がどういう街になりたいのかというビジョン。第二に、社会課題の存在。第三に、テクノロジーだ。そしてハード面で重要なのが、それらを語る人たちをできるだけ小さなエリアに集めること。できれば同じ建物に集積させることだという。

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彼はその説明のなかで、かつてボストンでグラハム・ベルの電話をトーマス・エジソンの改良型送話器が実用へ近づけた例を挙げ、異なる才能が近くにいることが技術を前へ進めると語っていた。さらに、日本のトキワ荘のように、才能の集住がひとつの文化をつくる例も挙げていた。これは感覚的にもよくわかる。

優れた人材やアイデアは、オンライン会議の連続だけでは化学反応を起こしにくい。雑談、偶然の再会、隣の会話への横入り、そうした「非効率」に見える接点から、新しい組み合わせは生まれる。つまり、3つのソフト面と、人が集まり交わる場というハード面、その両方が充足しかみ合って初めて、地域はイノベーションを生む装置になるのだ。

そう考えると、福岡はかなり条件が揃っている。街としての意思は、すでに長年発信され、風土になりつつある。その一方、目線を九州全土に広げると課題も多い。農業、エネルギー、地域交通、観光、人口動態。先端技術とかけ合わせる余地の大きいテーマがいくつもあり、そこに今、AIの波が来ている。これからの福岡は、さらに「何かが次々に生まれる地域」へと、ギアをさらに一段上げていくのかもしれない。今回、福岡の滞在を通してそんな期待をもった。

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なかやま・りょうたろう◎マクアケ代表取締役社長。サイバーエージェントを経て2013年にマクアケを創業し、アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」をリリース。19年12月東証マザーズに上場した。

文=中山亮太郎 イラストレーション=岡村亮太

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