経営・戦略

2026.05.12 15:30

株価20倍を記録した技術がわかる再生屋の正体とイオレが描くAIインフラ構想の全貌

瀧野諭吾|イオレ代表取締役社長

瀧野諭吾|イオレ代表取締役社長

低迷するグロース上場企業のビジネス構造を大胆に転換。テック畑をわたり歩いてきた再生請負人、その視線の先にあるのはAI時代の事業モデルだ。


東証グロース上場のイオレが変貌を遂げつつある。広告配信などを主軸にしていた同社は、2025年3月にAIデータセンター事業と暗号資産金融事業への参入を発表して以降、停滞していた株価が上昇軌道に。同年8月、28年3月期に売上高220億円、営業利益33億円を目指す中期経営計画を公表すると、株価は一時990円に達し、年初比で約20倍となった。舵を取るのは、PKSHA Technologyなどテック畑で活躍してきた瀧野諭吾だ。新社長が見据える成長戦略について聞いた。

──25年6月に社長就任し、早々に新事業を中核とした中期経営計画を打ち出した。

瀧野諭吾(以下、瀧野イオレは17年の上場以来、事業ポートフォリオが広がる一方、成長戦略を見いだせない状態が続いていた。私はPKSHAを離れたあと、PEファンドの企業再生案件に携わったり、事業会社のCTO職を経験したりするなかで「技術がわかる再生屋」として声がかかり、イオレの再成長についてディスカッションする機会をいただいた。そこで提案したのが現在の事業構想だ。

イオレはWebを通じて情報をやりとりする、いわゆるWeb2.0的なビジネスモデルを続けてきたが、情報技術の進化に適合できていなかった。一方でこの先を見据えると、日本はAIを開発する側ではなく使う側の国になっていく。ならば、次世代の情報インフラを自分たちでつくるべきだと考えた。AIを動かす計算基盤を提供するのがAIデータセンター事業であり、AIが社会に浸透した先に必要になる金融基盤を提供するのが暗号資産金融事業だ。

───AIデータセンター事業の進捗は。

瀧野:まずGPUサーバーの販売から始めた。サーバーと設置場所をまとめて用意し、オーナーを募って、AIによる計算処理を必要とする顧客に対して我々が代理運用するモデルだ。26年3月期第3四半期で同事業の売上高は46.2億円に達し、既存事業を大きく超えて主力になっている。想定よりも順調だ。

今感じているのは、計算リソースに対する圧倒的なニーズと、日本の対応の遅れ。GPUの世代交代が加速し、排熱や電力消費の要件が急速に変わるなかで、既存のデータセンターでは最新のサーバーを置けない状況が生まれている。設置場所の不足が販売の制約になりつつあり、次は自社でAI向けデータセンターを建設するフェーズに入る。鹿児島県と福島県に建設を予定しており、さらに大型プロジェクトの準備も進めている。

海外企業は受電容量300メガワット以上の規模でないと関心を示さないほど、求められるスケールが大きくなっている。我々の独自性は、グローバルの現場で得た知見をもとに、海外の大口顧客が実際に使えるデータセンターを日本につくろうとしている点にある。

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文=フォーブス ジャパン編集部 写真=吉澤健太

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