経営・戦略

2026.05.16 17:00

912店舗・純利益率62.5%、米コーヒーチェーン「Scooter's」のフランチャイズ戦略

michael - stock.adobe.com

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米ネブラスカ州オマハ発のドライブスルー型コーヒーチェーン「Scooter’s(スクーターズ)」が、米国で最も急成長しているコーヒーブランドの1つに育った。創業は1998年で、立ち上げたのはドン・エクルズ(70)とリンダ・エクルズの夫妻だ。現在の店舗数は912店、うち19店を除くすべてがフランチャイズとなっている。

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加盟店全体の年間売上高は8億5900万ドル(約1357億円。1ドル=158円換算)に達する。このうちエクルズの持ち株会社に入る推定売上高は8000万ドル(約126億円)に上る。同社の純利益率は62.5%ときわめて高い。

米国のフランチャイズ事業は、加盟店からのロイヤルティ収入を主軸とする本部側の収益性が際立つビジネスモデルで知られる。Scooter’sはその典型例といえる。米国で78番目に大きいレストランチェーンとして中西部を地盤に32州で展開するが、北東部と西海岸にはまだ1店舗もない。

バフェットの紹介で外部投資家を迎え、事業拡大に全力を注ぐ

オマハ拠点のコーヒーチェーンScooter’sを創業して10年あまり経ったころ、ドン・エクルズはバークシャー・ハサウェイのウォーレン・バフェットに手紙を書いた。自社の買収に関心があるかどうかを探るためだった。地元出身の「オマハの賢人」は追加情報を求める返事を送り、両者は「2、3回やり取りを重ねた」という。

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バフェットは最終的に、友人や家族から借りた資金で立ち上げられたScooter’sの事業規模が、バークシャーにとっては小さすぎると判断し、買収には至らなかった。ただし、バフェットはネブラスカ州の別の投資家であるM-One Capitalを紹介した。その紹介がきっかけとなり、Scooter’sは2018年に外部投資家を迎え入れ、エクルズは事業拡大に全力を注げるようになった。

「我々だけでこれを成し遂げることはできなかった。想像をはるかに超える幸運に恵まれた」とエクルズは語る。

ほぼ全店がフランチャイズで成り立ち、本部が手にする純利益率は62.5%

Scooter’sは現在も中西部以外ではあまり知られていないチェーンだが、外部投資家を迎え入れた2018年以降、成長を続けている。エクルズと妻リンダが1998年に創業した同チェーンは、現在912店舗を展開している。そのうち直営店19店を除くすべてがフランチャイズで、店舗の多くは中西部にある。

フランチャイズ全体の2025年の売上高は8億5900万ドル(約1357億円)に達した。このうちエクルズの持ち株会社には、推定8000万ドル(約126億円)の収入が入った。ほぼすべてのコストをフランチャイズ加盟店が負担するため、同社はきわめて収益性の高いビジネスモデルを築いている。フォーブスは、エクルズがこの8000万ドル(約126億円)の収入から約5000万ドル(約79億円)の利益を得ており、純利益率は62.5%に上ると推定している。

約1580億円の買収提案を退けて、非公開企業を貫く

その高い利益率を背景に、Scooter’sは有力な買収候補として注目を集めるようになったが、エクルズは事業を非公開企業のまま維持したい考えだ。同社は2025年、10億ドル(約1580億円)での買収提案を受けたと報じられた。エクルズは「それは、我々が検討していることではない。少なくとも現時点で我々は非公開企業であることを気に入っている」と語る。

ただし、エクルズにはScooter’sを上場させる選択肢もある。コーヒー関連株は、市場で評価されやすいためだ。アリゾナ州拠点のDutch Brosは、2021年の新規株式公開(IPO)以降、最も好調なレストラン銘柄の1つに数えられる。同社株は現在、売上高の4倍超、キャッシュフローの23倍超の水準で取引されている。

「Scooter’sは以前から存在感を示してきた企業で、今後どう動くのかを多くの人が気にしている。創業者たちは、これまでほとんど表に出てこなかった」と、ジェフリーズのレストラン株アナリスト、アンディ・バリッシュは語る。

創業者夫妻が握る60%の株式

現在もScooter’sの過半数株主であるエクルズ夫妻は、企業価値が約10億ドル(約1580億円)とされる同社の推定60%の株式を保有している。この持ち分の価値は約6億ドル(約948億円)に上る。残りの40%は、オマハ拠点のM-One Capital、ミネアポリス拠点のGMB Capital、ダラス拠点のMorrison Segerなどの投資家が保有している。

中西部が地盤、北東部・西海岸が空白の32州展開

Scooter’sは現在、米国で78番目に大きいレストランチェーンで、32州に店舗を展開している。同社の顧客基盤が特に強いのは、ネブラスカ州、アイオワ州、カンザス州、サウスダコタ州、ミズーリ州だ。現時点で西海岸と北東部には出店しておらず、西側ではアイダホ州とラスベガスまでが出店範囲となっている。これに対してフロリダ州では急速に成長しており、ジョージア州、サウスカロライナ州、ノースカロライナ州にも店舗を構えている。

「スペシャルティコーヒーや飲料の分野は、人気が高い反面競争も激しい。その市場でScooter’sが有力企業の1つに成長できたことに、身の引き締まる思いがする」と、Scooter’s会長を務めるエクルズは語る。

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翻訳=上田裕資

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