2001年に踏み切ったフランチャイズ化
夫妻は2001年、友人や家族、顧客から「自分でも店舗を開きたい」という問い合わせを受け、事業のフランチャイズ化に踏み切った。Scooter’sの店舗は、一般的なファストフード店よりもはるかに低コストで開業できることも追い風になった。多くの店舗は、ドライブスルーの受け渡し窓口を備えた644平方フィート(約60平方メートル)の小型キオスクだ。他のレストラン・フランチャイズに必要な従来型の2エーカー(約8100平方メートル)の敷地とは異なり、建設しやすく、資金も調達しやすい。ロードサイド型商業施設の端の区画を活用できるScooter’sの店舗なら、もっと小さな面積でも出店できる。
2018年、M-One Capitalの出資を機に事業モデルを見直し
2018年、バフェットの紹介をきっかけにM-One Capitalが出資すると、エクルズ夫妻は事業モデルを見直した。「我々はそれまで、外部の出資者に株式を持ってもらい、会社の課税所得の75%に相当する額を、分配金として投資家に支払っていた。当初は大した金額ではなかったが、年を追うごとに、その額はかなり大きくなっていった」とエクルズは語る。「大きく成功する企業に育てたいなら、利益の75%を外部に出し続けながらでは実現できないと気づいた。その資金を事業に再投資できるようにする必要があった」。
エクルズ夫妻はその後、初期投資家に利益の75%を分配する仕組みをやめた。夫妻はまず、M-One Capitalから得た資金の一部で、創業当初から出資していた友人や家族に資金を還元した。そのうえで、今後は税負担を賄うために必要な分だけを分配する方針に改めた。エクルズはその狙いを、「残りの資金は、人材、施設、設備に投資した。つまり成長に振り向けた」と説明する。
店舗数より店舗別の収益力で攻める成長戦略
2024年にScooter’sのCEOに就任したジョー・ソーントンは、「我々の成長ストーリーは、いずれ多くの人から評価されるものになる」と語る。同社の成長を支えてきた要因の1つは、中核市場であるグレートプレーンズ地域で競争が比較的少なかったことだ。Scooter’sは現在、ドライブスルー型コーヒーチェーンではDutch Brosに次ぐ規模にあるが、アーカンソー州を拠点とする7 Brewがすぐ背後に迫っている。
ジェフリーズのバリッシュはこう指摘する。「Dutch Brosや7 Brewがネブラスカ州、オクラホマ州、カンザス州、アイオワ州に進出し始めたら何が起きるのか。競合が市場に入り込めば、Scooter’sは一定のプレッシャーを受ける可能性がある」。
店舗数を増やさなくても、Scooter’sには売上を伸ばす余地がある。キオスク型のScooter’s店舗の平均年商は100万ドル(約1億6000万円)弱にとどまる。これ対して、Dutch Brosの年商は1店舗あたり210万ドル(約3億3000万円)、7 Brewの年商は190万ドル(約3億円)に達している。
Scooter’sのフランチャイズ加盟店のうち、上位4分の1は純利益率が20%を超えている。平均的な店舗の純利益率は15%前後だ(Dutch Brosと7 Brewは店舗ごとの純利益率を公表していない)。エクルズは、店舗の収益性を最優先にしていると語る。
エクルズの言葉を借りれば、こうだ。「現状の約900という店舗数は、大きな規模に向かう途中の通過点にすぎない」。


