北米

2026.05.14 16:00

「ワールドカップ特需」狙う米レストラン業界、チップの扱いに思わぬ落とし穴

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20%の義務的サービス料は、控除対象外で全額課税

米国外ではチップの慣行が異なるため、ワールドカップ期間中に米国を訪れる観戦客は、十分なチップを残すことにあまり前向きではない可能性がある。そのため、一部のレストランはすべての客に20%の追加サービス料を課すことを提案している。

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義務的なサービス料は、常連客の不満を招く可能性がある。とりわけ、かつては「一時的」なものとされたクレジットカード手数料が、現在では会計時の料金として定着したように、このサービス料も通常の料金として残るのではないかと考える客は少なくないだろう。もっとも、より大きな問題は、チップを受け取る労働者に生じる。IRSの最終規則の下では、こうしたサービス料はチップ控除の対象となる適格チップに該当しない。その結果、従業員が受け取る義務的なサービス料は全額課税対象になる。

またこのサービス料は、管理面でも混乱を招く可能性がある。一部のレストランは、ワールドカップが米国内で開催される39日間だけ、料金を上乗せする案を示している。もしそうなれば、通常は任意のチップだけを受け取る従業員について、同じ報告年の中で任意のチップと義務的なサービス料が併存することになり、申告時の整理がより複雑になる可能性がある。

メニュー表示でチップ慣行を観光客に伝えるアイデア

筆者は、旅を愛する者の1人として、文化的ギャップを埋める手段として義務的なサービス料を課すのは、少々安易な解決策だと感じている。米国外、とりわけ英国や欧州の一部では、チップやサービス料に関する方針がメニューに明記されている場合が多く、「任意のサービス料として12.5%が会計に加算されます」や、「表示価格にはサービス料が含まれており、追加のチップは不要です」といった文言が記載されている。海外を訪れる米国人観光客にとって役立つこの仕組みを、米国でも訪米観光客向けに導入するのは難しくないはずだ。

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たとえば、メニューや伝票には次のように記載できる。「米国では、レストランの接客担当者は収入の一部をチップに頼っています。表示価格にチップは含まれていません。良いサービスを受けた場合、客は通常18〜22%のチップを支払います」。

レストラン側は、チップ額の目安をあらかじめ計算して示すこともできる。会計伝票に推奨チップ額があらかじめ計算され、18%、20%、22%といった割合に応じて、チップがいくらになるのかが明記されている例を、目にした人も多いはずだ。

その結果、観光客はどの程度のチップが求められているのかを理解できる。またチップを受け取る接客担当者は、チップをそのまま受け取ることができ、税控除の恩恵を失わずに済む。

forbes.com 原文

翻訳=上田裕資

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