テクノロジー

2026.05.11 09:30

エージェント向けVisaカード──判断と購入をAIに任せる決済を実現へ

prima91 - stock.adobe.com

AIエージェントに自分の金を使わせることを、私たちは信頼できるのか

もっとも、今回の発表が浮き彫りにする、より深い問題は、エージェントが取引できるかどうかではない。エージェントが取引について、どう意思決定すべきかという問題だ。そして、AIエージェントに自分の金を使わせることを、私たちは信頼できるのかという問いである。

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グエンは、現状では「人間こそがポリシーだ」と語る。

先週末に話した際、彼は既存の決済インフラにある構造的な欠落について説明してくれた。現在の決済システムは、本質的に私たち人間と一体化しているというのが彼の主張だ。何を買うか、いくら使うか、どの条件なら支払うかという意思決定の層と、カード番号を入力して送信ボタンをクリックする実行の層が、人間の1つの行動に折り畳まれている。

これは明らかだ。私たちは何を買うか、いくら使うか、どこで使うかを決めている。しかし、人間がポリシーである以上、その人間を処理の流れから外せば、ポリシーも一緒に消えてしまう。

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何に、誰に対して、どの上限のもとで支出してよいのかを理解しているウォレット

そして、それこそがエージェント商取引で欠けている層である。

これは、投資家が必ず尋ねる「なぜStripeにはできないのか」という問いに対して、InFlowが示す答えである。同時に、既存のウォレットや決済処理事業者の多くがまだ十分には対応していない、エージェント商取引の要点でもある。正しい認証情報を持つものなら何にでも使い切られてしまうウォレットと、何に、誰に対して、どの上限のもとで支出してよいのかを理解しているウォレットは、別の製品である。

その点に確信が持てないなら、XのAIチャットボット「Grok」が、ユーザーからモールス信号を送られたことで暗号資産20万ドルを失った事例を思い出せばよい。

エージェント商取引にはポリシーと保護策が不可欠

したがって、エージェント商取引にはポリシーと保護策が不可欠である。もちろん、Stripeや他の大手決済企業も、おそらく手をこまぬいているわけではない。既存のインフラの上にポリシー層を構築できない理由はない。しかし、グエンが指摘している欠落は現実のものだ。つまり、ポリシーと決済はこれまで常に別々の関心事であり、人間がそれを結びつけていた。そして、この2つを切り離すには、単なるUI変更以上のものが必要になる。この構造的な問題を正しく扱わなければ、イノベーションの妨げになり得る。

現時点では、これはかなりB2B寄りである。あなたや筆者がエージェントに対し、「サイズ10のAir Jordan(エアジョーダン)が200ドル(約3万1300円)で手に入るなら買っておいて」と頼むような話ではない。

InFlowとVisaが狙っているのは、B2Bのクラウド基盤

InFlowとVisaが狙っているのは、B2Bのクラウド基盤──エージェント自身が業務遂行のために消費する、計算資源、推論、データ、ストレージ、能力の各層である。筆者のエージェントたちは過去3か月でトークン代として2000ドル(約31万3000円)以上を使ってきたが、その支払いはすべて筆者が個別に承認しなければならなかった。靴や航空券を買うような、消費者向けエージェント・コマースの世界の到来は、もっと長い時間軸の話だ(ただし、それも到来しつつある)。

提携相手がVisaであることの重要性

ここでの提携相手がVisaであり、単なる暗号資産企業やステーブルコイン・プラットフォームではないことは示唆的だ。

Visa Intelligent Commerceは、単なる共同マーケティング用の看板ではない。追加の信頼レイヤーである。Visaのネットワーク全体にわたるトークン化、認証、加盟店での受け入れがあるということは、InFlowを通じて取引するエージェントが暗号資産の空想世界で動いているのではないことを意味する。Visaの世界的ネットワーク上のどの加盟店でも認識し、受け入れることができる認証情報で取引しているのだ。

これは重要である。

しかし大きな問いは、主要なデジタル決済事業者が、競争に間に合うだけの速さで同様の技術を採用するかどうかだ。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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