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2026.05.11 09:30

エージェント向けVisaカード──判断と購入をAIに任せる決済を実現へ

prima91 - stock.adobe.com

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AIエージェントは、日々ますます多くの仕事をこなすようになっている。あるエージェントは、筆者がヒューマノイドロボットのエコシステムを調べるのを手伝っている。別のエージェントは、日々のメールと週ごとの予定表を管理している。しかしこれまで、たとえ筆者が許可したいと思っても、エージェントがサービスの料金を支払うのは難しかった。だが、その状況が変わった。

Aエージェント向けの“PayPal”を立ち上げ

サンフランシスコを拠点とするInFlow(インフロー)が、Visa Intelligent Commerce(ビザ・インテリジェント・コマース)の上に構築された、同社が「エージェントネイティブ・コマース基盤」と呼ぶサービスを開始したのだ。この組み合わせには重要な意味がある。エージェント経済(AIエージェントが主体となる経済活動)にこれまで欠けていた2つの要素を、同じ場所に揃えたからである。すなわち、エージェントが実際に使用できる、決済ネットワーク水準の安全な認証情報と、その認証情報を使ってエージェントに何を許可するかを判断するポリシー(運用ルール)エンジンの2つだ。

言い換えれば、AIエージェントがウォレットを手に入れ、そのウォレットにはルールが付いているということだ。

InFlowは昨年末、エージェントによる決済を可能にする企業として立ち上がった。当時、創業者で元PayPal幹部のジム・グエンは筆者に、「AIエージェントは日々賢くなっていますが、まだ自分でサービスを有効化したり、料金を支払ったりすることはできません」と語っていた。

問題は知能の不足ではない。「エージェントによる商取引から摩擦を取り除くために設計された、AIネイティブな決済システムが存在しないこと」だという。グエンの目標は、要するにエージェント向けのPayPalを立ち上げることだった。

InFlowがポリシーで統制する決済エンジン、Visaは決済認証情報や加盟店で利用できる仕組みを提供

今や、彼は実際にそれを成し遂げたようだ。

InFlowは自社をB2AI、つまり「企業からAIへ」のインフラと位置づけている。言い換えれば、この仕組みが想定する顧客は人間ではなく、エージェントである。同社のプラットフォームは、本人確認、導入時の登録手続き、多通貨ウォレット機能、そしてInFlowが「ポリシーで統制する決済エンジン」と呼ぶものを扱う。Visa Intelligent Commerceは、Visaの世界的ネットワークを通じて、決済認証情報・トークン化・認証・加盟店で利用できる仕組みを提供する。

Visaのバイスプレジデントであるタナー・リッチは声明で、「AIエージェントは新しい買い手のカテゴリーであり、企業にはそれを支える信頼できる方法が必要です」と述べた。「Visa Intelligent Commerceは、エージェントが開始する取引に向けて、安全で信頼できる認証情報を使えるようにします。InFlowとともに、開発者、買い手、売り手をB2AI経済につなぐインフラの構築を支援しています」。

71%の企業が、AIエージェント向けに最適化する意思があると答える

これはあまりに先端的で、実用段階を超えた危うい領域のように聞こえるかもしれない。しかし、実際には大きな新興市場である。Visa自身のBusiness-to-AIレポートによると、企業の71%が、AIエージェント向けに製品・提案・体験を最適化する意思があると答えている。また77%は、すでに業務でAIを使っているか、試験導入している。

つまり、非常に多くの企業が、つい最近まで何の支払いもできなかった顧客に売る準備を進めているということだ。そもそもその顧客は存在すらしていなかった、という点はひとまず脇に置くとしても。

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翻訳=酒匂寛

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