AI

2026.05.17 12:00

現場の競争力を蝕む、ChatGPT活用「3つの落とし穴」

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競争優位を安売りしている

私はAIと自動化の支持者だ。人間の努力を置き換えられるからではない。退屈で、いら立たしく、負担の大きい仕事の一部を引き受け、人間が本当にわくわくし、主体的に関われる仕事に、より多くの時間と余裕を残してくれるからだ。

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これまで多くの企業は、ボトムアップ型でChatGPTを導入してきた。OpenAIはこれを「草の根型パターン」と呼んでいる。要するに、従業員がLLMを試し始め、ある業務を速く進められる場面で使うという形だ。しかし、ChatGPTから最大の価値を引き出している企業は、トップダウン型のアプローチを徹底している。全員が同じ認識を持ち、利用が戦略的になるようにしているのである。

どの組織であれ、ChatGPTのようなLLMをトップダウンで組み込む前に、まず1歩引いて、自社の競争優位を特定することが不可欠だ。自社を競合他社から際立たせているものは何か。業務フローの自動化を始めるときには、この点を常に意識し、それを徹底して守る必要がある。そこにこそ、従業員の時間、共感力、創造性を注ぐべきである。それらは、どんなLLMにも置き換えられないものだ。

たとえば、筆者のジョットフォーム(Jotform、米国のオンラインフォーム作成サービス企業)では、長年にわたってユーザーと築いてきた関係性を大切にしている。フィードバックのプロセスの一部は自社フォームを使って自動化しているが、必要なときにはユーザーが私たちと直接やり取りできるようにしている。顧客が最も助けを必要としている場面では、人間味のある対応を守ることを重視している。締め切りに追われているとき、強いストレスを抱えているとき、あるいはイベントまで1週間しかないのにチケット販売サイトが不具合を起こしているときといった場面である。こうした体験こそが、満足した顧客を忠実なユーザーに変えるのだ。

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自社の強みを自動化してしまえば、競争優位を自ら安売りすることになる。そうではなく、時間をかけて自社の強みを明確に言語化し、その周辺をChatGPTで安定的に自動化するべきだ。

最後に1つ、念を押しておきたい。チームがChatGPTを使ってワークフローを計画的に試し、改善できるよう、スケジュールに余裕を組み込むことである。もしその時間投資が過大に感じられるなら、よく考えてみて欲しい。自社は次の時代を生き抜く側に回りたいのか、それとも置き去りにされる側になりたいのかを。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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