経営・戦略

2026.05.11 13:00

アマゾンが「物流版AWS」に本腰 外部企業へ物流網を開放

Tada Images - stock.adobe.com

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米アマゾンはAmazon Supply Chain Services(アマゾン・サプライチェーン・サービス、以下ASCS)を開始し、貨物輸送、流通、フルフィルメント、宅配サービスを含むエンド・ツー・エンドの物流ネットワーク全体を、マーケットプレイス出品者に限らず、あらゆる業種・規模の企業に開放した。

ASCSにより、あらゆる企業が原材料を輸送し、在庫を空路・海路・陸路で出荷し、顧客の近くで商品を保管・管理し、アマゾンの週7日稼働の宅配サービスを通じて販売チャネル横断で注文品を届けられるようになる。

ASCSは「すべての企業のために、商品を移動・保管・配送する1つのネットワーク」を掲げ、顧客はニーズに合わせて機能の一部または全部を選択できるという。

ASCSの早期導入企業には、原材料と完成品の輸送でP&G、世界各地の配送センター間の貨物配送で3M、在庫管理とオムニチャネルの注文フルフィルメントでランズエンド、アメリカンイーグルとエアリーの各ウェブサイトからの顧客注文の宅配でアメリカンイーグルが含まれる。

AWSの自社の内部ニーズを支えるためにクラウドコンピューティング・インフラを構築し、その後より広い市場に開放するという成功モデルに倣い、アマゾンはマーケットプレイス・エコシステム外の企業にも物流ネットワークを開放する。ASCSバイスプレジデントは、「数十年にわたり実証されてきた」同社の物流ネットワークが、かつてはアマゾンの事業専用だった「同等のコスト効率、信頼性、スピード」を、小売業者、製造業者、卸売業者、そしてヘルスケアから消費財まで幅広い業界に提供する準備が整ったと説明した。

この動きにより、アマゾンはUPS、フェデックス、DHLといった既存の物流大手を揺さぶる存在となる可能性がある。世界最大のeコマース小売企業への成長を支えた次世代のカスタム構築型サプライチェーンシステムを、サプライチェーンの一部にしか対応せず、アマゾンのような全体可視性を持たない既存企業が支配する物流市場に投入する。

また、2006年以降、同社のサービス「フルフィルメント by アマゾン(FBA)」を通じてマーケットプレイス出品者が出荷した商品数は800億点に上る。

「今回の物流戦略は、アマゾンのフライホイール効果の典型例だ。自社のコア事業のために構築したインフラを、サービスとして他社に販売している。B2B事業への参入は興味深い。一般的にB2C物流よりも利益率が高いからだ。そしてもちろん、これはアマゾンが自社プラットフォームにB2B出品者を呼び込みたいという意図にもつながる。アマゾンはこの分野で既存の物流事業者からシェアを奪うだろう。ただし、市場は巨大であり、多くの取引関係は非常に特殊で深く根付いているため、すぐに他社を駆逐することはない。とはいえ、この分野の他社にとっては明らかに不利な展開だ」とグローバルデータのニール・サンダースは述べた。

小売業界アナリストのハワード・レイクは、ASCSが他の物流事業者に比べて小売業界特有のニーズにより適合しているため、多くのブランドや小売業者がASCSへの参加を「強く誘惑される」とみている。その一方で、リスクの慎重な検討を促す。「アマゾンはサプライヤーかもしれないが、競合するマーケットプレイス運営者でもあり、競合する広告プラットフォームでもあり、データを豊富に持つ競合する小売業でもある。そして、より多くのチャネルを次々と征服したがっているようにしか見えない。書籍業界や家電業界の関係者に聞いてみればわかる」と同氏はSubstackに記した。

forbes.com 原文

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