10. あなたもタイムトラベラーになれる!「ザ・マッカラン エステート」
1824年の創業以来、同じ地で蒸留を続けているザ・マッカラン エステートは、ウイスキーラバーの聖地とも言える場所だろう。一般の見学も可能だが、各スポットで抽選となるため、実際は狭き門となっている。だからこそ、その難関を突破したものには特別な体験が待っている。
約485エーカー(敷地周囲約10km)もの広大な敷地では、蒸留、熟成、ウイスキーづくりが行われている。このうち来場者は蒸溜所の見学や、敷地の背後を流れるスペイ川でのフライフィッシング、エステート内や地元で育った野菜を味わえるレストランでの食事などを体験できる。
また敷地内には1700年に建てられ、ザ・マッカランの“スピリチュアル・ホーム”として、精神的な拠り所になっている「イースターエルキーハウス」もある。
ザ・マッカラン エステート管理責任者のレイチェル・ウォルターズさんは、このエステートに関わる人を「タイムトラベラー」と表現する。
「1840年代の地図を見ると、その生垣が今も境界線として機能していることがわかりますし、敷地内には樹齢200年、300年の木々が今も残っています。そして私たちは過去に敬意を払いながら、これからの200年先も見据えています。だからこそ“タイムトラベラー”なのです」(レイチェルさん、以下同)
また200年後の未来のため、ここではリジェネラティブな取り組みが多く行われている。
例えばエステートには赤リスやアトランティックサーモンなどの保護種が生息しており、学術的にも重要な場所として指定されている。
「環境を守ることは動物を守るだけでなく、私たちのウイスキーづくりを守ることにも繋がります。近年の気候変動で雨が降らず、スペイ川の水が減ってしまった際に、ウイスキーづくりを約7カ月ストップさせたことがありました。そういった経験からも、環境を守ることは非常に重要で、今はエコシステムの構築にも力を入れています」
そして、グローバルクリエイティブディレクターのジャウマ・フェラさんも「これまでザ・マッカランのイベントでは過去を重視することが多かったのですが、200周年のイベントでは未来へのビジョン、つまり自然と共生し、守っていくというメッセージを打ち出しました」と話す。
エステートにある約110エーカーの自社大麦畑では、環境再生型農業であるリジェネラティブ・アグリカルチャーを実践し、土壌を修復・改善しながら自然環境の回復に繋げている。
またエステート内のエネルギーはソーラーパネルで賄い、蒸溜所の燃料となる蒸気はバイオマススチームプラントで生み出している。養蜂は2年ごとに専門機関による調査も行うほど力を入れ、過去2年間で2.5kmもの生垣を植えている。
長く美味しいウイスキーを楽しむためにも、自然が作り出すロマンにも目を向けてほしい。


