8. 着色ゼロ。樽の個性を活かした100%ナチュラルカラー
ウイスキーはスピリッツカラメルによって色付けすることが許されている。「個体差をなくすため」「見栄えを良くするため」など、着色の理由はさまざまだが、ザ・マッカランでは“一切行わない”のがルールだ。
「私たちはベンチマークを持っています。例えば『ダブルカスク12年』のサンプルを見ると、樽ごとに多様な色があることがわかります。すべての樽をサンプリングし、ベンチマークに基づいて味のニュアンスはもちろん、色のバランスも考慮して、慎重に組み合わせていきます」
ちなみにアメリカンオークの樽で熟成するとフレッシュなフルーツ、バニラ、ときにはココナッツのような風味と、比較的明るい色合いとなる。
一方、ヨーロピアンオークは、レーズンなどのドライフルーツ、オレンジ、ジンジャー、シナモン、ナツメグなどのようなスパイス感と、深い色合いをもたらす。
これらの木材の違いに加え、それぞれの樽の個性を見極めてブレンドしていくのだ。
「この作業は非常に難しいのですが、どれだけ多くの労力をかけても、私たちが大切にしていることなのです」
9. 8人の精鋭が集結したウイスキー・マスタリー・チーム
ザ・マッカランの最終チェックを行うのは、8人の精鋭たち「ウイスキー・マスタリー・チーム」だ。ウイスキー製造総責任者のカースティーンさんを含む、この8人全員が合格を出さないと製品化されない。一人の天才に頼るのでなく、チームの集合知がザ・マッカランのスタイルを死守しているのだ。
「チームで集まり、カラー、ノーズ(香り)、パレット(味わい)、そしてフィニッシュ(余韻)、4つの項目で636個以上ものチェックを行います。このなかで1つでも基準に満たなければ、他のサンプルを使い、納得がいくまで微調整を繰り返します」
ウイスキーブランドの中で8名という規模はかなり大きい方だと話すカースティーンさん。昨年はなんとチームで7万樽ものサンプルを評価したという。これは1日あたり平均194個もの樽を審査している計算になる。
「テイスティングは最終段階になってから行うので、ほとんどのチェック項目は嗅覚で判断します。そして何より重要なのは、周囲の環境をニュートラルに保つこと。評価を行うサンプルルームでは、飲食はもちろん、ハンドクリームであっても香りが強いものの使用は禁じられています。
私個人としても、仕事がひと段落するまではコーヒーは飲まないなど、それぞれが五感が研ぎ澄まれた状態を維持できるように工夫を凝らしています」
コンディションを整えた精鋭たちが認める味、それがザ・マッカランの味わいを担保している。


