米国が、ミサイル攻撃に対する世界最高の盾となるであろう次世代ミサイル防衛ネットワーク「ゴールデンドーム」の構築に着手すれば、宇宙を狙うロシアの熱核爆弾を撃破するための選択肢はさらに増えるだろう。米国各地の発射基地、次世代戦闘爆撃機、軌道上に配備された対ミサイル防衛システムにより、米国はロシアの最新核兵器プラットフォームに対して多様な攻撃手段を展開できるようになる。
ゴールデンドームの軌道セクターには最先端の宇宙配備型迎撃機が多数配置される予定で、敵のミサイルが発射された直後、個別誘導複数目標弾頭を射出する前のブースト段階で破壊できるようになる計画だ。
これらの「ゴールデンドームの設計の一部」である宇宙配備型迎撃機について、サムソンは「ASATとして使用できる」と筆者に語った。セキュアワールド財団の報告書でも、「米国がゴールデンドーム構想で提案した多層的な宇宙配備型迎撃機計画を推進すれば、これらの兵器は同軌道上での対宇宙能力を持つことになる」と指摘している。
もっとも、ゴールデンドーム構想における最大の課題は、その天文学的なコストだ。
サムソンは報告書の中で、米国屈指の宇宙防衛分野の専門家である米アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)のトッド・ハリソンが「ゴールデンドーム構想のコストについて、米国がどのアーキテクチャを採用するかに基づいた分析を2025年9月に行った」として、次のように紹介した。
「最も低コストで済むのは、多層的な宇宙配備型迎撃機を配備しない限定的な戦術防衛だ。費用は20年間で推定2520億ドル(約39兆5000億円)になる。最も高額なのは、ゴールデンドームに対するホワイトハウスの期待に合致する『堅牢な全脅威防衛』の場合で、こちらは20年間で推定3兆6000億ドル(約564兆円)もの費用がかかる」
マサチューセッツ工科大学(MIT)で航空宇宙工学の上級学位を取得しているハリソンは以前、筆者とのインタビューで、軌道上に展開されるゴールデンドームのミサイル迎撃網を「地球を絶えず周回する天上の守護者たち」と呼び、理論上はロシアの全面的な核攻撃から米国を守れるとしつつ、ロシアが保有するICBM全てを防ぐには20万発の迎撃ミサイルが必要になると語っていた。
サムソンはもう1つ、ゴールデンドームの弱点を指摘している。それは、防衛網が地球上空で構築される過程でロシアの超大型軌道爆弾の格好の標的となる点だ。「そうなれば、宇宙配備型迎撃機は極めて迅速に無力化される」


