宇宙

2026.05.10 09:00

軌道上でロシアの「核攻撃リスク」急増、宇宙防衛急ぐ西側 トランプのゴールデンドームは切り札になるか?

地球周回軌道上で人工衛星を攻撃する核武装した衛星のイメージ図(stock.adobe.com)

ホワイトハウスが最近、軌道上に核武装した衛星が展開される可能性を「高リスクの脅威」に分類したことを受け、米国防総省ではロシアの「宇宙爆弾」を破壊できるさまざまな兵器システムの開発を急いでいるとみられる。

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多数の衛星が展開する低軌道上でロシアの核弾頭が爆発すれば、大規模な電磁パルスが発生して広範囲の衛星が破壊される恐れがある。さらに、ISSや中国の宇宙ステーション「天宮」に滞在する宇宙飛行士は命を落としてもおかしくないとサムソンは言う。

サムソンが提示した米国防脅威削減局(DTRA)の資料には、軌道上で核爆弾が爆発した場合の影響を、スーパーコンピュータを用いてさまざまな条件でシミュレーションした広範かつ憂慮すべき研究結果が示されている。この研究では、5000キロトンの核弾頭がISS近傍で爆発した場合「ISSに深刻な被害を与える」ことが判明した。爆風により「約1時間以内に宇宙飛行士は放射線障害を受け、90%の確率で2~3時間以内に死亡する」という。

軌道上での核爆発の危険性を認識した米国は2年前、国連安全保障理事会に決議案を提出し、核兵器を地球周回軌道へ打ち上げることを禁じた「宇宙条約」の遵守を徹底するよう世界の宇宙開発国に求めた。しかし、ロシアはただちに拒否権を行使した。

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この対応にジェイク・サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は当時、仮にロシアが核ASATを開発していなかったなら拒否権を行使することもなかったはずだと主張。「かねて指摘のとおり、米国はロシアが核を搭載した新型衛星を開発中だと分析している」と述べた。

宇宙安全保障の専門家であるサムソンによれば、米国には現在、運用可能な対衛星プログラムは存在しない。ただし、ミサイル防衛システム2種がすぐさま対衛星兵器に転用可能で、「イージス弾道ミサイル防衛(BMD)システムは、中距離弾道ミサイルに対抗して設計された戦域ミサイル防衛システムだ」「地上配備型中間段階防衛(GMD)システムは、大陸間弾道ミサイル(ICBM)級の脅威に対する防衛として設計された」と筆者に語った。

つまり、GMDシステムの迎撃ミサイルは、核弾頭をひそかに搭載したロシアの衛星を撃墜する目的で転用できる可能性があるということだ。

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翻訳・編集=荻原藤緒

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