ビットコイン採掘企業が重要な役割を果たす理由
筆者はこうした論点を2月の記事でも提示していた。以来、ソブリンAIのうねりはますます強まっている。
ビットコイン採掘企業は、各国が自国にAI能力を構築するために切実に必要としている希少な物理的リソースをすでに押さえている。電力契約、土地、冷却設備、変電施設などだ。こうした必須インフラがすでに整っているために、採掘企業はデータセンターの建設期間を従来型の事業者よりも最大で75%短縮できる。
評価は実際の取引に表れている。ハイパースケーラー各社は上場しているビットコイン採掘企業との間で、総額700億ドル(約11兆円)超にのぼるAI・高性能コンピューティング関連契約を結んでいる。デジタル資産運用会社のコインシェアーズによれば、AIインフラ事業は採掘事業と比べて1メガワットあたり3倍の収益を生み出す可能性がある。実際、いまでは採掘企業のおよそ7割がAIインフラ事業も手がけるようになっている。
筆者の会社を紹介させていただくと、ハイブ・デジタル・テクノロジーズは早い段階でこの方向に動き、BUZZ HPCを立ち上げた。この部門はカナダと北欧でソブリンAI向けクラウドサービスを運営している。これらの地域は、再生可能エネルギー、環境負荷の小さい冷却システム、利用可能な土地といった面で有利な自然条件を備えている。
マネーの流れを追え
筆者はよく投資家に「マネーの流れを追うように」とアドバイスしている。マネーがいま、かつて見たことのない勢いで流れ込んでいる先がAIインフラだ。米国では今年、オフィスやホテル、倉庫建設への支出が減る一方、データセンター建設への支出は23%増えると予想されている。国富ファンドからも、電力から不動産、半導体、クラウドサービスまで、AIのバリューチェーン全体にますます多くの資金が注ぎ込まれている。
投資家にとって、ソブリンAIブームは「一世代に一度」級の投資機会を生み出しているというのが筆者の見方だ。ビットコイン採掘企業はこのブームの到来を予見していただけでなく、そのためのインフラも築いていた。


