中国のAIスタートアップKimi(別名:Moonshot AI)が、評価額200億ドル(約3.12兆円。1ドル=156円換算)で20億ドル(約3120億円)の資金調達ラウンドを完了しようとしている。急速な技術進展を背景に、世界でも人気の高いAIモデルの開発企業へ投資家の資金が流入している。
Kimiは、Forbes 30 Under 30 Asiaの卒業生、ヤン・ジリン(楊植麟)が2023年に創業した企業だ。現地メディアのLatePostと、この取引に詳しい2人の関係者によれば、同社は、Long-Z Investmentsを中心とする投資家から資金を調達しているという。Long-Z Investmentsは、中国の億万長者・王興が率いる生活サービス大手・美団(Meituan)のベンチャーキャピタル部門だ。このラウンドに参加する他の投資家には、中国のオルタナティブ資産運用会社CPEや、中国の通信大手チャイナモバイルの投資部門が含まれる。
同社はコメント要請に応じなかった。2025年末時点で評価額43億ドル(約6708億円)だったKimiは、投資家が将来性に賭ける中でその評価額が急上昇している。先に挙げた関係者2人のうち1人によれば、最新ラウンド以前にも、2026年これまでにすでに約20億ドル(約3120億円)を調達済みだという。投資家には中国eコマース大手アリババ、ゲーム・ソーシャルメディア大手テンセント、投資会社5Y Capital(フォーブスのミダスリスト[Forbes Midas List]選出のリチャード・リウが運用)などが名を連ねる。
Kimiが資本を必要とする理由は、AI分野の熾烈な競争の中で研究開発を賄うためだ。香港上場の同業であるMiniMaxとZhipu(智譜)は、新モデルを急速にリリースしており、各バージョンでコーディング、推論、リサーチ機能の向上を謳っている。これに対し非上場のKimiも、4月下旬に、複雑なコーディング作業を実行できるオープンウェイトモデルKimi K2.6をリリースした。同月、中国の指導部がAI関連技術の開発加速を促す中、ヤンは北京で中国の李強首相と会談した。
開発者がさまざまなAIモデルにアクセスできるよう支援するプラットフォームのOpenRouterによれば、K2.6はトークン使用量ベースで、現在世界で最も利用されているAIモデルの上位3位以内にランクインしている。1月リリースの前モデルK2.5は、サンフランシスコ拠点のAIコーディング企業Cursorを顧客として獲得している。
研究コストが高騰する中、投資家からの資金獲得を急いでいる中国のAIモデル開発企業はKimiだけではない。4月に待望のV4モデルのプレビュー版をリリースしたDeepSeekも、評価額450億ドル(約7.02兆円)超で初の外部資金調達ラウンドの交渉を進めていると報じられている。OpenRouterによると、リリース以降、V4モデルはトークン使用量に基づき世界で最も利用されているAIモデルの上位10位以内にランクインしている。



