経済

2026.05.08 09:30

ジェット燃料不足が「危機的状況」、夏休みシーズンの旅行業界に打撃

Dursun Aydemir/Anadolu via Getty Images

Dursun Aydemir/Anadolu via Getty Images

ホルムズ海峡の閉鎖が10週間近く続く中、世界各地でジェット燃料が枯渇しつつあり、夏休みシーズンの旅行計画が大きく混乱する恐れがある。エネルギー専門家らがフォーブスに明かした。

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専門家はジェット燃料不足の長期化を警告、危機的状況に陥るおそれ

データ分析企業のケプラーでコモディティリサーチ・ディレクターを務めるマット・スミスは、現在のジェット燃料不足を「スローモーションで起きる自動車事故」に例え、「容易に解決できる問題ではなく、短期間で収束することはないだろう」とフォーブスに語った。

マギル大学で航空リスク管理を教えるジョン・グラデクも、「我々は危機的状況に陥ることになる」と警告した。さらに、「航空業界を支えるために必要な燃料供給のパイプラインそのものが干上がってしまうという事態を、彼らはかつて経験したことがない」と指摘した。

欧州の在庫は6月に「23日間」のしきい値を下回る見通し

ゴールドマン・サックスが最近発表した投資家向け調査ノートによると、欧州のジェット燃料在庫は、6月中のどこかの時点で国際エネルギー機関(IEA)が深刻な不足のしきい値と定める「23日間」を下回る見通しだという。

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IEAの事務局長は4月中旬、欧州には「あと6週間分ほどのジェット燃料しか残っていない可能性がある」と警告した。また、アジア、アフリカ、中南米の発展途上国は、それよりもさらに早く影響を受けることになるとも述べている。

航空データ分析企業のシリウムは4月、2026年には世界中の航空会社が「トラフィックと輸送能力の大幅な減少」に陥ると警告した。「紛争が長引き、ジェット燃料価格が現在の高値に留まるほど、その影響はより深く、長期的なものになるだろう」

ホルムズ海峡封鎖により、世界の航空会社で減便が加速

ガスバディの石油分析責任者であるパトリック・デ・ハーンは、「もしあなたが逆境にも負けない旅行者ではないなら、海外への旅行計画を再考すべきかもしれない。特にホルムズ海峡の封鎖が5月末のメモリアル・デーまで続く場合はなおさらだ」とフォーブスに語った(編注:メモリアル・デーとは、戦没将兵追悼記念日を指す。夏のレジャーシーズンの開幕日と位置づけられている祝日)。彼自身もこの夏に欧州を訪れる予定があるが、「8月のイタリア旅行を不安に思っている。海峡があと数週間閉鎖されたままだとしたら、非常に深刻な事態になるだろう」と述べた。

ホルムズ海峡は、米国とイスラエルがイランを攻撃した2月下旬以来、閉鎖されたままだ。中東は欧州の航空燃料の20%を供給しているが、グラデクが語るには、ある日突然世界全体で燃料が底を突くわけではないという。「個別の国々から徐々に燃料が尽きていくプロセスになるが、それはすでに始まっている」。シリウムのデータによると、世界中の航空会社は2026年5月の運航スケジュールから約1万3000便、200万座席を削減した。欧州では、ドイツのルフトハンザとターキッシュ・エアラインズの削減幅が最大となっている。

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翻訳=江津拓哉

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