資産運用

2026.05.09 07:00

株価が高値圏にある今、投資家は「現金」をどれだけ保有すべきなのか

stock.adobe.com

stock.adobe.com

米国の主要株価指数が史上最高値圏で推移している。背景には人工知能(AI)への期待や堅調な企業業績がある。一方で過去2年、米国の投資家は米ドル建ての現金性資産で5%近い利回りを得ることができた。普通預金金利が0.2%前後にとどまる日本とは対照的な環境だった。だが連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測が強まる中、この「努力不要の利回り」の時代は終わりを迎えつつある。米国の投資家は今、「現金(米ドル)をどれだけ保有すべきか」という戦略的問いに再び直面している。

米国株最高値圏とFRB新議長就任を前に、現金保有戦略が問い直される

株式市場は上昇基調を強めている。地政学的な不確実性が根強く、政府債務水準は高止まりし、インフレーションへの懸念も残り、金融政策の方向性をめぐる議論が強まる中でも、主要株価指数は新たな史上最高値を繰り返しうかがっている。米国の投資家が見据えているのは、2026年11月の中間選挙だけではない。同じくらい重要な転換となり得る、FRB新議長の就任という移行もある。

これらの動きが相まって、投資家心理には無視できない変化が生じている。過去2年の大半にわたり、投資家は米国財務省短期証券(Treasury bills)、マネー・マーケット・ファンド、譲渡性預金(CD)、一部の高金利普通預金口座など、米ドル建ての現金性資産で利回り5%近くを得ることができた。だが足元では、将来の利下げ観測が強まるにつれ現金の利回りが低下し始め、投資家は再び難しい戦略的問いに直面している。すなわち、「現金(米ドル)を本当はどれだけ保有すべきなのか」という問題だ。

ゼロ金利後の5%利回り時代が、利下げ観測で終わりを迎える

足元のサイクルの大半において、現金は「容易」だった。

10年以上にわたり金利がほぼゼロだった後、現金は突如として再び「稼ぐ」資産になった。インフレ不安、銀行システムの不安定さ、FRBの積極的な金融引き締めに彩られた局面で、投資家はボラティリティを抑えつつ柔軟性を維持しながら、意味のあるインカムを得られた。

しかし、投資環境は変わり始めている。

市場が将来のFRB緩和の可能性をますます織り込む中、高金利普通預金口座やマネー・マーケット商品はすでに利回りの引き下げを始めている。一方で株式市場は、人工知能(AI)への期待、生産性向上、堅調な企業収益、そして経済が深刻な景気後退を完全に回避できるかもしれないという楽観論に後押しされ、上昇を続けている。

これは、投資家がわずか6カ月前に経験した環境とは大きく異なる。現金はもはや単なる資金の一時置き場ではない。再び戦略的なアロケーション判断になりつつある。

次ページ > 短期利回り低下で問われる、保守的姿勢の機会コスト

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事