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2026.05.08 14:15

「問いに真摯」なサービス104番号案内に幕。忘れまじ、就活決めたオペレーター

Adobe Stock

人に問うことが減るAI時代

104のオペレーターが掲げていたモットーは「正確・迅速・感じよく」だったそうです。私が経験したように、104は単なるデータベースの検索結果ではなかった。住所や名前が曖昧な「うろ覚え」の状態を、人が丁寧に受け止め、言葉を補い、候補を絞り込んでくれる。それは、小さな対話を通じた問題解決だった。

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例えば、阪神淡路大震災で幼なじみの電話番号を知ろうと104に相談して、一度は分からないという答えの後、オペレーターさんが懸命に調べて、再会できたエピソードもある。

いまは、検索すればスグに分かり、AIに聞けば答えが返ってくる。電話番号どころか、企業の評判や社員の口コミまでスグ手に入る。

学生も進路などの相談ではAI依存が増えている。表面的な情報で手軽に判断しているが、その質は本当に高まっているのか疑問な例をよく目にする。私とは時代が違うとはいえ、人に問いをぶつけ、そこから行動することがおろそかでは心配だ。

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"答え"ではなく"問い"に向き合う力

AIが進化する今こそ問われているのは、すぐ「答え」を出すというより、「不完全な問いにどう向き合うか」ではないだろうか。

今のAIは強力だが、基本的には「入力された情報の範囲」で答えを返す。104は「ユーザーの困りごと(コンテキスト)」を汲み取ってくれた。このコンテキスト理解が、これからのサービスデザインに求められるだろう。

104の終了には、単なるサービスの世代交代以上の意味を感じる。

効率の追求は止まらないが、果たして私たちは、かつての104が持っていた「不完全な情報を補う柔軟性」や「人への寄り添い」、「声を通じた安心感」を、新しい技術の中に再構築できているだろう。

カスタマーサービスも、電話でのやり取りは大きく減少し、ユーザー側からは不便になったという声も聞く。

「困っている人の力になりたい」という想いを、いかに技術で実現するか。今は見過ごされがちだが、それこそが、これからのサービスに問われる古くて新しい大切な顧客価値となるはずだ。

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