2026年4月28日、京都・四条河原町にある京都髙島屋S.C.6階に「京都IP書店」がオープンした。
カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が手がける「IP書店」は、漫画・アニメ・ゲーム・VTuberなどの二次元エンタメIP(知的財産)関連商品が、常時コミックマーケットさながらのブース構成で並ぶ。物販に加え、店内で作品展示やイベントなどを組み合わせることで、ファンは来店動機となる「推し」の世界観に没入できるだけでなく、新たなコンテンツに出会い、「好き」が広がる体験を得られる。消費の場であると同時に発見の場としても設計された空間が特徴的な、新形態の書店だ。
全国で3店舗目の展開となった「京都IP書店」のテーマは「和」。商品や展示に、日本ならではの伝統文化の意匠を取り入れることで、新たな解釈を与えるのが狙いだ。
店内には、キャラクターたちのめずらしい和装姿が描かれたパネルやグッズ、御朱印帳・お守り・絵馬など神社仏閣にちなんだアイテム、温かみのある木製のスタンドなど、誰もが“日本らしさ”を直感できる限定商品が多数並ぶ。これらの多くは京都店オープンのためのグッズ企画を各クリエイターと練って実現したものだ。
オープン当日は朝8:30の開店時刻より前から店外に入場待ちの列が生じ、早くもその期待値の高さが証明されていた。事前に抽選配布された入場整理券によって店内導線は一定の秩序を保っていたものの、グッズ購入のためレジに並ぶ人々が絶えず100人規模の列を成した。来場者らは展示品の写真撮影を楽しんだり、グッズを手にとり吟味したりする姿が至る所で見られ、充足感がうかがえた。
IP書店の原点は、2024年に行われた「SHIBUYA TSUTAYA」のリニューアル時だ。
同施設内で初めて展開されたIP書店は、書店という既存業態をベースにしながら、POP UP SHOPやギャラリーなどを組み合わせた空間を展開。物販に加えて展示やイベントを行うことで、コアなファン同士の交流を生み、来店者がコンテンツの世界観に触れながら滞在する場となった。こうした設計によって消費は“参加型”へと変わり、来店という体験そのものに価値が生まれた。
クリエイターとファンの距離を縮め、体験や共感を起点に収益化を図るIP書店のこの取り組みについて、東京・大阪、そして京都のIP書店の立ち上げを担ったプロデューサーの栗俣力也は、京都IP書店への反響についてこう語る。
「店舗オープンのニュースリリースには、渋谷での1号店のときの約3倍ものインプレッションがついたんです。クリエイターさんたちとの企画の打ち合わせでも、京都での展開となると、みなさんかつてないほど意欲的で驚かされました。今日もファンの方の熱量に圧倒されています」
その期待は国内市場にとどまらない。京都IP書店では、日本IPをまだ十分に享受していない海外層への接続もこれまで以上に大きなテーマになるという。
「日本のIPコンテンツ市場は、長くアジアが主戦場でした。一方、北米や欧州では、日本のアニメ観が長い間更新されていないケースも少なくありません。京都では、既存店同様にIPホルダーの意向とビジネスを両立させながら、そうした潜在層も積極的に取り込んでいきたいと思っています」(栗俣)
国内外から絶えず「和」を求め観光客が訪れる京都なら、日本のアニメやゲームに予備知識のない訪日客にとっても、日本のIP文化を体感する入り口となるだろう。
土地柄で言えば、同店が置かれた四条河原町周辺は、ビジネスの中心街でありながら、ギャラリーやアートスポットも点在し、地元客、国内旅行者、訪日客の需要が交差する。
今後地域との連携が進めば、ここはすでにあるIPの発信にとどまらず、新たな創作やコラボレーションが生まれる創造の土壌として発展する可能性もあるだろう。
なんでもECで買える時代だからこそ、「偶然の発見」や「熱量の共有」といった体験の価値が高まっている。こうした時代背景の中で、IP書店の軌跡は「実際に足を運ぶこと」の価値をいかに再構築できるかというリアル店舗の挑戦でもある。



