北米

2026.05.10 17:00

11月の米中間選挙に向け「184億円」献金、トランプを支援するビリオネア25人

Photo by Kevin Carter/Getty Images

過去のパターンを破ったMAGA Inc.の資金集め

トランプ系の団体が中間選挙に向けてこれほどの資金を集めている状況は、近年ではほとんど前例がない。連邦最高裁が2010年の「シチズンズ・ユナイテッド」判決で、政治献金の上限を事実上撤廃して以降、大統領を務めたバラク・オバマとジョー・バイデンの2人にも、それぞれと密接に関連するスーパーPACが存在した。

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オバマ系の「Priorities USA Action」と、バイデン系の「Future Forward」は、すべてのスーパーPACと同じく無制限に献金を受け取ることができたが、候補者と連携することは禁じられていた。この2つの団体は、大統領選の期間中には巨額の資金を集めたものの、中間選挙ではほぼ存在感を失った。理由の1つは明白だ。中心人物である大統領本人が投票用紙に載らないからである。

だがトランプはそのパターンを破った。彼を後押しする団体の「Make America Great Again, Inc.」は2024年の再選運動に向けて4億ドル(約624億円)超を集めた。その後、名称を「MAGA Inc.」に改めた同団体は、憲法上トランプが再び大統領候補になれないにもかかわらず、再びそれに近い額を集めている。

選挙予測サイトInside Electionsの編集者兼発行人であるネイサン・ゴンザレスは12月、「過去の大統領が、従来の党組織とは別に、これほど大規模な資金調達組織を持っていたとは思わない。しかも、トランプは本来ならレームダック化していく立場にある大統領だ」と語っていた。

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MAGA Inc.は巨額の資金を確保しているにもかかわらず、ほとんどそれを使っていない。例えば、トランプが就任して以降、下院の補欠選挙は8件実施されたが、MAGA Inc.が資金を投じたのはそのうち1件のみだ。同団体は、予想以上の接戦となったテネシー州の選挙に170万ドル(約2億6500万円)を投入した。

中間選挙資金の使い道をめぐる2つの答え

では、これほどの資金は何のために使われるのか。

最も分かりやすい答えは、選挙広告や投票率を引き上げるための組織的活動、候補者への支援など、現代のスーパーPACが使う手法を総動員した中間選挙に向けた大規模な選挙攻勢だ。MAGA Inc.が実際に約3億5000万ドル(約546億円)を全米規模で投入すれば、世論調査で劣勢にある共和党候補を支える強力な武器になり得る。

もう1つの、よりトランプらしい使い方

もう1つ、よりトランプらしい使い方もある。この資金は、実際に使わなくても政治的な圧力として利用できる。「彼らができることの1つは、その資金をただ抱えたまま、接戦区の共和党議員をにらみつけ、『我々の支援が欲しいのか、欲しくないのか』と迫ることだ」と、選挙資金法を専門に研究する南カリフォルニア大学グールド法科大学院のアビー・ウッド教授は語る。同教授によれば、過去にも一部のスーパーPACはまさにこの戦略を使ってきた。つまり、巨額の政治資金を築き、それを「脅し」として温存するやり方だ。選挙予測サイトRacetotheWHのローガン・フィリップスは、「トランプのこれまでの発言を見る限り、彼は本選で勝つことよりも、忠誠心を徹底させることを重視している」と指摘する。

実際、トランプはすでに次の選挙をあきらめているようにも見える。彼は1月にはロイターに対し、「何か深い心理的なものがあるのだろうが、大統領選で勝つと、中間選挙では勝てない」と語っていた。

MAGA Inc.がトランプの考えに従うとしても、彼が資金を後のために温存するのは初めてではない。トランプは2020年の選挙で敗れ、ホワイトハウスを去った後も、献金者から数百万ドル(数億円)規模の資金を集めて手元に残し、その後、再び大統領選に勝利するまで弁護士費用の支払いに充てていた。

フォーブスは、2025年1月1日以降にMAGA Inc.へ行われた20万ドル(約3120万円)以上の献金をすべて調査した。以下では100万ドル(約1億5600万円)以上を献金したビリオネアをランキング形式で紹介する。

次ページ > 100万ドル(約1億5600万円)以上を献金したビリオネア

翻訳=上田裕資

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