アパレル販売員が「クリーニング師資格」を取ると見えてくる未来
「預かったものを人には任せられないので、日々のビジネスではまだ後継者は考えられない」と言う康之氏。ハイエンドブランドも扱える彼らの技術力をなんとか形式知にして伝えて行ってほしいものだが─。
「そうですね。僕らのやってきたことを、真似してもらえる『仕組み』には落とし込んでいかないといけない。実際、神奈川県のクリーニング屋さんとの情報共有はしていますし、地方や韓国のクリーニング屋さんが店に見学にくることもあります。
このあいだは台湾のクリーニング屋さん「萬秀的洗衣店」が店に来てくれて、その後台湾で再会しました。彼らは世界的に有名で、数年前、伊勢丹新宿店で期間限定POPUP店舗を出店したりもしています。たとえば彼らと組んで、世界的に、アパレル業界が絡む環境の課題などに取り組んでいければいいなと」
康之氏はこうも言う。
「販売員にクリーニング師の資格取得を奨励すれば、アパレルブランドは強い差別化ができると思います。こういうアイテムと合わせるといいですよ、こうすると着回せますよだけでなく『このジャケット、ドライマークがついてるけど、実は家の洗濯機で水洗いできるんです』とささやいて、聞かれたら詳しく教えられる販売員さんがいたらいいと思いませんか?『クリーニング代がワンシーズン⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎円くらい浮きますよ』とか。それでもう1着買ってしまうかもしれない(笑)。ちなみに、人気ブランド『ESTNATION』で僕たちのオリジナル洗剤を販売していただいているのですが、ご自宅で使ってくださっているショップ店員の方もいるみたいです」。販売時に自社製品の手入れ方法も説明するスタッフもいるという。
ブランドロゴが刻まれたボタンやファスナーを慎重に保護しながら皮脂汚れ落としに取り組むクリーニング師、クリーニングの技術を熟知したショップ店員、そして「洗われること」を前提にデザインするデザイナー。洋服事業圏のエコシステムはそんな彼らがいる世界でこそ循環しそうだ。そしてその圏内の「ハブ」になるのは、洗濯ブラザーズら、気骨あるクリーニング師たちかもしれない。


